日記・備考録
Diary/Memorandum

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2005/08/01〜

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2005/07/31

論文、その他リンク
D.Svehla et al., Kinematic Precise Orbit Determination for Gravity Field Determination, IUGG General Assembly 2003
Kinematic法を使ったCHAMP軌道決定。精度1-3cm wrt SLRでReduced-Dynamic法と差が無いとしている。Ambiguity解決を入れて1-2cm。LPと呼ぶ1周波combinationで約10cm。

後藤他, GPS受信機を搭載した低軌道衛星の軌道決定, 地球の「流れ」を見る衛星重力ミッション, 2004
concert ver.4を使用したKinematic法によるCHAMP軌道決定。JPL軌道との差peak-to-peakで1m。まだpreliminaryな結果。LEOはアークが短いので5分時計では精度が出にくいと思う。最低30秒時計がほしいのでこっちではJPL, CODEかGT決定値を使う予定。

GFZ, CHAMP-ISDC(Information System and Data Center)
CHAMPの観測データ及び軌道をDownloadするためにUser Authorization。パスワードは後から送られてくる様。

明日から夏休み。その間もPCは黙々とお仕事。

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2005/07/30

昨日発表での質問。PPP文献について。ピントのはずれた回答しかできなかったのでフォロー。確かに現在一般的なGPS参考書にPPPの記載は殆ど無い。PPP文献で少しはちゃんとしたのはやはりKoubaだろう。再度リンク。
J.Kouba, A Guide To Using International GPS Service (IGS) Products, 2003
補正モデル、推定モデル、精度評価まで一通り入っている。ただモデルが精密でない部分がある。あとはCargary大の一連のION論文くらいか。PPPは割りと新しい技術だということ。でも今Yahoo Japanで"GPS PPP"で検索すると先頭にウチの頁がくるのは何だな。

朝起きたらメインPCが再起動されてた。それが原因で電子基準点PPP計算中のサブPCが全部停止。不安定なメインPCのHDを共有しているのは問題なのでHD構成を再整理。PC4台で1週間以上かかる計算を安定して流すのはそれだけで大変。WinXP不安定なので推定エンジンをCにして計算は早くLinuxに移行したい。HDもRAID組みたいんだけど今のところ余裕がない。

論文、その他リンク (見つからない人用)
ftp://cddis.gsfc.nasa.gov/gps/data/satellite : LEO衛星観測データ(RINEX)
ftp://cddis.gsfc.nasa.gov/gps/products/leopp : IGS LEOキャンペーン軌道決定結果

下のリンクのcompress圧縮データはかなりの数gzipでは正常に解凍できない様。

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2005/07/29

PPP精度が少し悪いので地道に残差解析。2004/1/1 GPS04-000843 PPP postfit残差。GPS04は12:30〜13:30まで食。食入〜食後30分まで最大で通常残差の10倍にも及ぶ変動が見られる。これは食時phase-windupによるものだろう。精密暦誤差も入っているかも。一応この期間weightを下げているがこれだけ大きいと捨てた方が結果は良くなるかもしれない。

本日は三鷹に外出。東京は暑そう。.....

電子情報通信学会 宇宙・航行エレクトロニクス研究会 (SANE) 発表。
演題 :
GPSによる精密単独測位(PPP)法の精度評価

帰宅。東京は暑かった。こちらの夜の涼しさは格別。

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2005/07/28

400G HD×3が届いたのでセットアップしHD整理。ついでに電子基準点観測データをHatanaka-Compression。これで容量が半分以下になる。

朝から流しているデータ圧縮が全然終わらない。1日分で約8分、1年分で8×366/60=49H。こりゃダメだ。電子基準点、いい加減嫌になってきた。

論文、その他リンク

大船渡市,東大地震研,日立造船他, 大船渡市沖GPS津波計実験データ公開ページ
GPS津波計による津波計測実験。PVD(Point precise Variance Detection)と呼ぶ搬送波位相を使った単独精密座標変動計測。搬送波位相観測から衛星に起因する変動成分をフィルタで取り除き座標変動成分を求めるとしている。発想はユニークだとは思うが衛星と受信機の時計変動はフィルタで簡単には取り除けないので精度が出ないのではないか。多分VRSの方が精度が出やすいだろう。Kinematic PPPも使えるが1秒周期だと高時間分解能時計の問題が有る。どうも調べていくと最終的には地上基準局とのRTKを使っている様。でも面白いGPS応用。

H.Bock et al., Kinematic Orbit Determination for Low Earth Orbiters (LEOs), IAG 2001
Kinematic法によるLEO軌道決定。バイアスを消すため搬送波位相のEpoch間1重差を使う。CHAMP軌道決定精度はRMSで1m以下としている。

U.Hugentobler et al., GPS Satellites: Radiation Pressure, Attitude and Resonance, COSPAR 2002
GPS衛星姿勢変動による太陽輻射圧への影響等。大変面白い解析。

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2005/07/27

IGS基準座標局PPP結果詳細(暫定版)更新。水平・垂直プロット追加。
軌道は目標精度に近い所まで来たが精密測位はまだまだ。目標精度は24H Staticで水平2mm,垂直5mm。Kinematic 水平1cm,垂直2cm。ここまで行けは相対測位と十分勝負できる。またLEOも単純運動モデルを入れただけで2-3cmの精度が出るはず。

電子基準点PPP全点終了。中断等もあったが9日かかった。全結果データ量約450GB。全然精度が出ないのでパラメータチェックをしていたらClock Jumpリペアを入れていない事に気付いた..........orz。全部やり直し決定。

ところで昨日の発表で質問のあったGTでゼロ差を使っている本当の理由。実はGTには2重差も1重差も実装されている。これは開発初期にそれらを使っていた名残り。軌道決定で2重差を使う問題は基線選定が面倒なこと。ループで基線を組むと線形従属な観測ペアが出るので基本はツリーなのだがデータを有効に使う基線選定が難しいし組み直しも面倒。あと残差見てもペアだからどっちが悪いのか判らない。そこで(衛星間)1重差に行った。これは局時計はジャンプがあり(その頃は)推定が難しかったから。これはそれなりにうまく行ったがwhite-noiseモデルを使えは局時計も推定できることが分かったのでゼロ差に移行。精度も1重差に比べ少し良かった。...という経緯でゼロ差になってます。ゼロ差の問題はAmbiguity整数化が出来ないこと。GIPSYはゼロ差なのに後処理で2重差使ってAmbiguity整数化が出来るらしく、これを入れて軌道精度が上がったと言う報告もある。ただGTの結果を見る限りこのハンデはほとんどないのではないかと言う気もする。Ambiguity整数化を入れるつもりは無いのでメリットの無い2重差は次版で削除の予定。

金曜 発表原稿(PowerPoint 4.9MB) 更新。

論文、その他リンク
M.N.Deo et al., An Investigation of GPS Precise Point Positioning Methods, 6th International Symposium on Satellite Navigation Technology Including Mobile Positioning & Location Services, 2003
PPP技術のサーベイ。Ambiguity高速収束モデルについてCargary大の論文を引用しているがこれは眉唾っぽい。

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2005/07/26

15th Astro Dynamics and Flight Mechanics WS 発表。
演題 : 搬送波位相観測値を使用したGPS衛星の高精度軌道決定

台風であずさもかいじも止まったので仕方なく鈍行で帰宅。

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2005/07/25

台風7号関東直撃の気配。明日はちゃんと家まで戻ってこれるだろうか。
2004年分電子基準点全点PPPあと少し。1〜6月分を見てみると少し精度が悪い。多分パラメータ調整やバグ修正をして後2,3回は再解析が必要だろう。でもどうやっても1回分で1週間はかかる。Matlabではもう速度的に限界なので推定エンジンは次版で念願の全C化予定。スパコン欲しい。

しかし精密測位も安定して精度出すのは大変。国土地理院に対抗するためには磐石の安定度でITRF局位置の精度を出したいのだが長期評価すると色々とボロが出る。客観的に見てまだ朝青龍と平幕くらいの差が有るか。IGSも国土地理院も人と時間をかけて地道にシステム改良し毎日膨大なデータを蓄積しているので逆立ちしても勝てない部分はある。ということで2004年1年分 IGS基準座標局PPP結果詳細。いつも通りdaily(24H)解。相変わらずJOZE局が10cm以上垂直オフセットを履いている理由は不明。IGSの結果はこちら。これはWeekly解だがJOZEはオフセットを履いていない様。

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2005/07/24

HDが全然足らないので通販で注文。奮発して日立400G×3 計\8万也。大容量HDもずいぶん安くなった。
休養の予定だったが机の前で論文読み。

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2005/07/23

論文、その他リンク
S.B.Luthcke, et al., The 1-Centimeter Orbit: Jason-1 Precision Orbit Determination Using GPS, SLR, DORIS, and Altimeter Data, Marine Geodesy, 2003
GPS, SLR等を使ったLEO衛星(Jason-1)高精度軌道決定。GPSを使ったReduced-Dynamicで精度 1cm(radial)としている。この辺になると精度検証が大変だが頑張って色々評価している。ソフトはGEODYN。アンテナPCV補正が重要。意気込みは分かるが論文長すぎ。もう少しコンパクトにしてほしい。GTのGPS軌道もIGS比較精度 2cm(radial)なので"2cm軌道"と宣伝には使おうか。

CDAAC, Algorithm Description for LEO Precision Orbit Determination with Bernese v5.0 at CDAAC
UCAR(米国大気科学大学連合) COSMIC CDAAC(COSMIC Data Analysis and Archive Center)で行っているLEO衛星高精度軌道決定。Berneseを使った詳細手順につき解説がある。まずIGS精密暦とIGS局観測データを使って高時間分解能GPS時計を作ってから、ゼロ差搬送波位相+reduced dynamic法でLEO衛星軌道を決定している。精度10〜14cm(3d)。Dynamic, Reduced-Dynamic, Kinematicの簡単な比較がある。相当に複雑な手順。Berneseを使いこなしてるなあと感心する。

M.Maeda et al., NASDA Precise Orbit Determination Experiment of ADEOS-II, 17th International Symposium on Space Flight Dynamics, 2003
S.Nakamura et al., Results of the Precise Orbit Determination Experiment with ADEOS-II, 18th International Symposium on Space Flight Dynamics, 2004
NASDA/JAXA GUTSによる1周波GPS受信機を使ったADEOS-II高精度軌道決定。SLR比較等。精度40cm(3d)としている。2003年の発表では評価のためGPS軌道決定を行っている。IGS比較精度20cm〜70cm(3d)。2年前とはいえ、...(以下略)。

S.Bisnath, Precise Orbit Determination of Low Earth Orbiters with a Single GPS Receiver-Based, Geometric Strategy
, UNB Geodesy and Geomatics Engineering Technical Report, 2004
カナダNew Brunswick大、GPSを使ったLEO衛星高精度軌道決定に関する博士論文。全163頁。LEO衛星軌道決定をやる時にじっくりと読ませてもらおう。

"Precise Orbit Determination GPS"で検索しただけで山の様な論文が引っかかる。でもGPS衛星そのものの軌道決定についての論文は殆ど無い。IGSが現業でやり尽くしているから学問的価値はあまり無いということだろうか。まだ面白いテーマは色々とあるとは思うが。

電子基準点PPP、またHD溢れ。別HDに保存先移動。あと約3ヶ月分で残りHD120GB。ギリギリで足りるはずだが。

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2005/07/22

GMS-5運用終了。色々とお世話になった。でも天寿を全うしたという感じ。後は衛星の墓場で静かに眠って下さい。合掌。

論文、その他リンク
M.Sc.Hua Su, Precise Orbit Determination of Global Navigation Satellite System of Second Generation (GNSS-2) - Orbit Determination of IGSO, GEO and MEO Satellites -, 2000
第二世代測位衛星の精密軌道決定。多分博士論文。シミュレーションによる軌道決定精度解析。Ambiguity整数化が高精度化に重要としている。著者は中国人ドイツ留学生のよう。日本にはこのレベルの博士論文を書ける学生がいるのだろうか。

D.Svehla et al., Kinematic and Dynamic Precise Orbit Determination of Low Earth Orbiters, 2nd International GOCE User Workshop, 2004
運動モデルを入れないKinemaitc法による高精度LEO衛星軌道決定。精度1-3cmとしている。地上局と基線を組んだ相対測位の他にゼロ差Kinematic (すなわちPPP) も評価している。高時間分解能GPS時計は特別にCODEで作ったようだ。取り扱いの簡単さからKinematic PPPがLEO衛星軌道決定には有望だとは思うが一般に使える高時間分解能GPS時計が無いのが問題。JPL, CODEの30秒時計+補間でどこまで精度が出るか。Kinematic PPPは色々と応用が利いてこれから旬の大変面白い技術。

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2005/07/21

発表が近いので原稿の用語チェック。"Light-Time Equation"は"光差方程式"が普通で"光路差方程式"とは言わない様だな。"Site Displacement"は"局位置変位"より"局位置変動"の方がいいのだろうか。"wrt"は欧文論文でよく使われるのだが"with respect to"なのか"with reference to"なのか未だによく分からない。"〜を基準として"くらいの意味で使っているのだが通じるだろうか、とか考え出すと気になってしまう。まあ内容が重要で意味が通じればいいのではあるけれど。

論文、その他リンク
R.Schmid et al., From Relative to Absolute Antenna Phase Center Corrections, 2004 Berne Workshop & Symposium
現行IGSアンテナモデルの問題と対策。衛星アンテナオフセット/PCVを高精度に校正しないとGPSではGlobal Scale(基準座標の垂直成分絶対値)を決められないとしている。どうもGPS測位におけるScaleオフセットの問題は衛星アンテナモデルの問題が大きい様だ。アンテナモデルはcm単位で効くので高精度測位に重要。

Astro 発表原稿 (PowerPoint 1.50MB) 更新。ミス修正等。

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2005/07/20

軌道・時計推定結果詳細を整理しアップ。

論文、その他リンク
E.Gill, O.Montenbruck, Comparison of GPS-Based Orbit Determination Strategies, 18th International Symposium on Space Flight Dynamics, 2004

色々な手法を使ったGPS受信機搭載LEO衛星(CHAMP)軌道決定精度評価。最も高精度なのは2周波搬送波位相を使ったReduced-Dynamic法で3DRMS 10cm。これは運動モデルを入れたもの。搬送波位相を使ったKinematicは評価していない。地上固定局のPPP結果を見ると運動モデルを入れないKinematic PPPでも10cmくらいは行きそうな気がするが固定局と超高速移動体とは差が出るかもしれない。これは今後LEO衛星軌道決定としてGTを使って評価する予定。

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2005/07/19

電子基準点PPP結果が1日分で1GBを超える。このままでは全くHDが足らない。残りHD約16G。2Hで約4G。今日夕方にはHDが溢れる。どうしよう。

IGS TSKB(つくば)局PPP2004年1年分。7/16リンクの論文で示されているように夏に位置が1〜1.5cm下がる傾向が見える。


SANE7/29用 発表原稿暫定版 (PowerPoint 4.8MB)

論文、その他リンク
新井他, SBAS比較用GPS衛星精密軌道情報の作成, 電子航法研究所2002年(第2回)研究発表会
GAMIT/GLOBK+IGS50局/ENRI5局観測データによるGPS軌道決定。ENRI速報暦と呼んでいる。IGS最終暦比較で誤差数十cm〜1m。3年前とはいえ、GAMITを使ったにしては精度が良くない。20cm位まではそれほど苦労なく寄るはずなのだけれど。

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2005/07/18

今日は休養。でも4台のPCは文句も言わずシコシコとお仕事。2004年分電子基準点全点PPP。1日当り約2H。2×366/4=183Hで1週間以上かかる。

論文、その他リンク
G.Blewitt, Basics of the GPS Technique: Observation Equations, in Geodetic Applications of GPS, 1997
少し古い参考書だがBlewittのHPから。"差をとらない搬送波位相バイアスは波長の整数倍にならない"と明確に書いてある。受信機時計の取り扱いにつき明記してあるのも珍しい。観測モデル上のLight-Time、受信機時計や搬送波位相バイアスの取り扱いは曖昧な記述の参考書が多く、その部分のGTの観測モデルは仕方なく自分で導出したもの。
ホフマン-ウェレンホフのGPS理論と応用をパラパラと読んでいると、差をとらない搬送波位相バイアスが整数となるよう読める記述がある。この間違いは色々な参考書で見られ誤解の元になっているので注意。

ホフマン-ウェレンホフから。高性能受信機を使っても数mの(コード)マルチパスはたびたび起きる、とある。移動体用マルチパス低減技術が開発されないと、DGPSによるm以下の補正は実用的にはあまり意味がない可能性が高い。

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2005/07/17

論文、その他リンク
田中他, GPSアンテナ位相特性の検定とその課題、国土地理院時報 第102集, 2003
国土地理院で行ったアンテナ位相特性検定。NGS検定値と2-3mmの精度で一致したが、環境により測位解に数cmの差が生じ得るとしている。

Y.Hatanaka et al., Calibration of antenna-radome and monument-multipath effect of GEONET - Part 1: Measurement of phase characteristics, Earth Planets and Space Vol.53 (No.1), 2001
Y.Hatanaka et al., Calibration of antenna-radome and monument-multipath effect of GEONET - Part 2: Evaluation of the phase map by GEONET data, Earth Planets and Space Vol.53 (No.1), 2001
以前はPCVモデル, アンテナピラー,レドーム, 取付法の差により基線解に10cmに及ぶ誤差が生じていた。これら種別毎PCVを測定し補正することにより測位解が改善されたとしている。しかし畑中さんのグループの緻密で丹念な仕事にはいつも感心する。

IGS PCVモデルがDorne Margolin T Antennaを基準とした相対測定値に拠っており絶対PCV測定値と異なる問題に言及している。PCVモデルの問題は相対測位では問題になりにくいがPPPでは問題となる。PPPの精度評価で書いたようにPPP垂直方向の系統誤差はIGS PCVの問題に起因する可能性が高い。ただこれらの改善はIGS推定値からの乖離を生じるのでIGS基準では精度がむしろ悪くなるだろう。今、最高精度を狙おうとするとIGSを離れなければならないがそうするとどうやって検証するかという課題を新たに解決しなければならない。軌道にしても測位にしても。

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2005/07/16

論文、その他リンク
S.Matsuzaka et al., VLBI-GPS Co-location Results in Japan, IVS 2004 General Meeting Proceedings, 2004
昨日リンクのGPS-VLBIコロケーション詳細。GPS TSKB局座標の垂直季節変動につきGround Water Level(地下水位?)との相関があるとしている。豪雪地帯の積雪荷重による位置変動といい垂直座標には地点特有の季節変動が載ることが多いようだ。

国土地理院, VLBI
VLBI局はGSIの所管なんだと初めて知った。天体観測だから国立天文台かと思っていた。国内局4箇所(つくば32m, 新十津川5m, 姶良10m, 父島5m)。解析ソフトはCALC/SOLVE。IVS解析センタと使用解析ソフト。しかしVLBIでは国際事業の中でちゃんと解析業務を担っているのにGPSでは何故やらないのだろう。国際事業に参画しなければ自前の測位衛星を開発・運用する技術もノウハウも得られないと思うのだが。

調べたらVERA観測局 (水沢, 入来, 小笠原, 石垣島, 全部20m) は国立天文台所管で主に電波天文学用。それ以外に J-NET (VLBI国内ネット) (鹿児島6m, 水沢10m, 鹿島34m, 野辺山45m)というのもある。このうち水沢, 野辺山は国立天文台、鹿島(既に解体?)はCRL通総研、鹿児島は鹿児島大所管らしい。近くの野辺山天文台は一度見学したことがあるが45mのお皿はでかかった。ところで臼田の64m鏡は深宇宙探査機の追跡専門でVLBIには使っていないのかな。

アマゾンで注文してた本届く。
B.ホフマン-ウェレンホフ他, 西訳, GPS理論と応用, シュプリンガー・フェアラーク東京
もちろん原書は持っているがパラパラと斜め読みするには和書じゃないときつい。内容はもはや少し古い感じは否めない。

トップページ更新。

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2005/07/15

論文、その他リンク
三菱電機, 高精度GPS測位サービスPAS

電子基準点データを使った、ドイツGeo++社開発FKP(面補正パラメータ)方式のVRSサービス。と言ってもVRSはTrimbleの商標なのでVRSとは言っていない。さすがmelco、ちゃんと精度評価結果論文も掲載されている。精度はRTK水平2cm。でもデータ料年\252,000。システム構築費を考えれば別に法外とも思わないが客は着くのだろうか。

測地観測センター, 電子基準点の高さについて, 国土地理院時報 106集, 2005
GEONETアンテナ交換, 架台取付高統一, PCVモデル変更による精度改善評価。アンテナ交換前には取付高ばらつきにより最大12cmの高さオフセットが生じていたとしている。電子基準点PPP結果には一部に交換前アンテナが含まれているのでこの影響を受けている可能性がある。しかし測量分野には地道な評価をコツコツとやっている人が多く頭が下がる。


松坂, 宇宙測地における座標系の取り扱いについて-その2 数学・物理そして宇宙測地, 国土地理院時報 103集, 2004
座標系の構築法。GPSとVLBIのコロケーションについて紹介がある。つくば-新十津川VLBI基線と近隣GPS点基線との比較で水平1cm以内, 垂直数cmで整合とある。VLBI基線の精度は水平1〜2mmと言われているから垂直はともかく水平も少し悪い気がする。これにはLocal Tie誤差も大きいのかもしれない。注意深く処理すればGPS PPPで絶対座標水平3mm程度の精度を達成できるのでPPPはもっと注目を浴びても良い気がする。


Astro 発表原稿暫定版 (PowerPoint 1.49MB)

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2005/07/14

論文、その他リンク
IGS Central Bureau, IGS FAQ

4.6に軌道補間法について解説がある。Hofmann-Wellenhof p.69を見る。結構ショック。40分間隔軌道を17次ラグランジェ補間でmm精度補間が可能とある。本当なら今まで運動モデルを使って頑張って補間していたのは何だったのかということになる。PPP覚え書きも嘘を書いていることになる。これは確認せねば。

The 15th Workshop on JAXA Astrodynamics and Flight Mechanics
Astroの正式プログラムがアップされている。

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2005/07/13

秘密兵器不発。何をやってるかは秘密兵器なので秘密。

GTの開発もここで一段落だな。ここのところpostfit残差が改良されていてもIGS比較精度が悪くなるというケースが目立っていてIGS Finalもこの精度ではあまり信用できない。従って、もし今より高精度化できたとしても簡単に検証ができない、といった所まで来てしまった。
後は安定性評価, バグ修正, 使い勝手の改善, 文書整備といったプロダクトとしての品質向上と実応用となる。一応この作業も9月一杯と思っていたのでいい頃合。ほぼ0から始めて約15ヶ月でここまで来たのは自分を褒めても良いのではないか、と勝手に思っておこう。

評価して改良、評価して改良を繰り返しているといつの間にか何が精度に効くか勘が働くようになる。これは大変なノウハウで自分で手を下して苦労していないと絶対身につかない。もしかするとここを準天関係者が読んでいるかもしれないから書くが実績あるソフトを導入するにせよ自前で開発するにせよ精度出すのは大変ですよ。GT買いません。と宣伝。

2004年分電子基準点観測データダウンロード完了。2004/6まで約940局、2004/7以降約1200局。総データ量約240GB。途中中断等有ったが結局約1ヶ月半かかった。平均で80〜90KB/sくらいの速度。せっかく大量のデータを落とさせて貰ったので恩返しのつもりで価値ある解析ができればよいのだが。

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2005/07/12

Astroの正式プログラム届く。SANEと違って技術中心に喋れるので少し楽しみ。駒場の宇宙研は何度か行ったことがあるが相模原に移ってからは初めて。駒場なんて何時の時代だ。裏で4台のPCにお仕事をさせながら、Astro発表原稿準備。

もう少しで2004年1年分の電子基準点全点観測データのダウンロードが終わる。そうしたら電子基準点PPP解析を再開予定。F2解のオフセットについて解析結果を秋の測地学会講演会(10/25-27 at 京大)に出すつもり。今年の発表はこれで終わり。

記録更新5.18cm。でもいよいよ手詰まり。後は秘密兵器に賭ける。

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2005/07/11

第49回宇宙科学技術連合講演会 準天頂衛星セッション申し込み。
演題: 測位衛星用高精度軌道・時計決定ソフトウェアの開発
時間及び聴講者を考慮しAstroは決定手法、宇科連GT紹介が主体になる予定。現行のGTはどこに出しても恥ずかしくないソフトに育ちつつあると勝手に思っているのでうまくビジネスに結び付けられれば良いのだが。

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2005/07/10

記録更新5.32cmMITと並んだ。でもちょっと手詰まり。5cmを切るのは難しいかもしれない。

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記録更新5.23cmMITを抜いた。でも残りを抜くのは多分無理だろう。

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2005/07/09

第49回宇宙科学技術連合講演会オーガナイズドセッションの詳細がアップされている。準天セッションの内容を見ると一般講演、GPS技術OK。"準天頂衛星に応用可能"ということにしてGPS軌道時計決定を出すか。それなら航空宇宙学会に入らなくても済む。

論文、その他リンク
GPS WAAS Accuracy。WAAS DGPS精度。RMS誤差で水平1.8m、垂直3.2m。
OmniSTAR。静止衛星を使った商用DGPSサービス。良い商用受信機を使って水平0.5m以下(67-73%)、1m以下(95-97%)、垂直は水平の2〜2.5倍としている。
ジェノバ, VRS-DGPS, 国土地理院電子基準点データを使いVRS技術を利用した商用DGPSサービス。25cm程度の精度が得られるとしている。
ZCC, iiGPS, 単体で1m前後の精度、DGPS補正で0.5m(CEP50%)以下の精度としている。
世の中のDGPSの精度について調べているのだがまともな評価結果がなかなか見つからない。メーカ宣伝をそのまま信じるのはばかげているし、もう少し客観的な評価データがないものか。DGPSでは精度などどうでもいいのかな。

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2005/07/08

Matlab6.5.1ではWindowsXPのリモートデスクトップ接続でリモートPCのMatlabを起動するとライセンスエラーで起動できない。従って代わりにVNCを使う必要がある。VNCは性能と使い勝手が悪いのでリモートデスクトップ接続で使用するための裏技。
(1) リモートPCで"control userpasswords2"を実行し自動ログオンONを設定。
(2) リモートPCのスタートアップに以下設定。"...matlab.exe -automation -r exit"
要は最初のログオン時にチェックしているようなので接続前に自動ログオンしいったんmatlabを上げてしまえばよい。

以下論文掲載。
笠井他, 2004年紀伊半島地震に伴うDEMETERデータとGPS TEC比較, 電子情報通信学会 宇宙・航行エレクトロニクス研究会(SANE), 2005
笠井, GPS広域補正によるサブメータ級測位 試験評価結果, 電子情報通信学会 宇宙・航行エレクトロニクス研究会(SANE), 2005
独自のWADGPSシステムの評価。1周波擬似距離観測値だけで水平20〜40cm,垂直30〜60cmの精度を得られるとしている。
電子基準点の擬似距離マルチパスがRMSで大体10〜20cmくらいなのでHDOP=2,VDOP=3としてほぼ理論限界値に近い。ただこれはマルチパス対策をした測量用アンテナ・受信機を使った値で一般のDGPSに使う移動体用小型アンテナではもっと落ちるはず。従って既存システムと直接比較は出来ない。移動体用小型アンテナのマルチパスに関する評価結果どこかにないかな。
"移動体向けVRS"という言葉に違和感があったので調べたらVRS-DGPSというのがあるのね。DGPSと言ったら普通単独測位なので何か変。多分外国では意味が通じないだろう。でも技術用語じゃなく商品名なのか。

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2005/07/07

SANE論文、見直してたら細かいミスが多い。さすがにやっつけ仕事。どっかで訂正しよう。さてあと2週ちょっとなのでAstroの準備も始めなければならない。ネタはないことはないが生きのいいネタはこれから作らないと無い。

PPP精度評価に細かいデータ追加。電子基準点PPPで垂直20cmを超える差の局が有る事に気付いたが、多分これはアンテナPCVの問題だろう。

気付く人はまずいないだろうがIGS基準座標局(IGb00)は現在85局、PPPで評価した局は84局。実はJOZE局が抜けている。JOZE局は12cmくらいの原因不明の垂直オフセットが出るので除外している。悪いのを除いて平均すれば最終結果が良くなるのは当たり前なので卑怯といえば卑怯。ただ世の中この手の結果操作は溢れているし直すの面倒なので許してください。

PC1式setup。P4 Prescot 3.2G。WinXP Pro, Matlab6.5.1インストール。すぐにベンチ。
>>bench;a=rand(2000);b=rand(2000);tic;c=a*b;toc,tic;c=inv(a);toc
0.44 0.69 0.38 0.50 0.89 0.83
7.625 8.828

ちなみにP4 Northwood 3.2G。
0.44 0.86 0.42 0.44 0.94 1.09
6.844 8.61
大して変わらない。当然か。

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2005/07/06

SANE原稿、速達で発送。でも内容ないなあ。原稿を本HPにupすることは特に問題ないと判断したので公開(PDF 516KB)。でも内容ないです。よっぽどPPP覚え書きの方が内容がある。

ところでこうやって技術検討の詳細を公開してるのは覚え書きや記録面もあるけど、少しは日本の測位技術レベルの向上に役立てばという意図がある。それにしちゃカウンタが全然上がらないけど。だからもしこれ読んでる人がいたら何でもいいからメールくれるとうれしいです。

発注してたPC部品が着いたけれど流石に今日は寝てないんで気力がない。1式は古いケースの流用で4Pの電源コネクタが無いんだけど刺さなくても動くかな。ダメだったら電源も追加で買わなくちゃいけない。

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2005/07/05

別件で一日外出。帰宅後SANE論文をやっつけ。その間3台のPCは懸命にお仕事。のはずと思ったらファイルシステムフルでコケた。はあ、疲れる。

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2005/07/04

第49回宇宙科学連合講演会、オーガナイズドセッションの内容公開。以下3件。
1. 宇宙ステーションの向こう〜宇宙居住〜
2. 宇宙インフレータブル構造の実用化に向けた研究開発と新たな適用領域の拡大を目指した研究
3. 準天頂衛星
出すとすれば準天セッションしかないのだが何で出すかね。

国土地理院、GPSアンテナ特性とPCV補正
電子基準点のPCV補正データが公開されている。現在の電子基準点アンテナはTRM29659.00, TPSCR4の2種。少し前まではそれ以外のアンテナもあったようだがアンテナ交換で以上2機種に統一をとった様だ。検証の結果IGS値IGS_01.PCV を使うことにしたとのこと。なおこれらのアンテナは一般にPCV測定基準として使われるAOAD/M_T型チョークリングアンテナと同一機種らしい。

GT0.5.5 PPPの長期評価結果が出始めたのでその中から。
2004/7/1〜12/31 TSKB (IGS筑波局) 24H static PPP結果。Linear Fitに対するRMS誤差なのでトレンド除去後の位置Repeatabiltyということになる。IGb00(ITRF2000)に対するRMS誤差だともう少し悪くなりEast: 6.0mm, North: 6.1mm, Up: 10.4mmとなる。

2004/7/1〜12/31 TSKB 24H static PPP

参考のため電子基準点940001稚内F2解。F2解はつくば1局固定の相対測位なのでつくば1に近い局の水平誤差はもう少し良い。ただし前から書いているようにF2解は日本列島の端でITRFに対し水平1.5〜2cmのオフセットがある。

2004/7/1〜12/31 94001 稚内 F2解
(本解析には国土地理院電子基準点データを使用しました)

電子基準点のGT PPP結果を確認しているのだが、6月始めにGT0.5.5alphaで暫定解析した結果に比較し東西方向のrepeatabilityが2mm→4mmに悪化している。暫定解析から変更した点は以下の通り。
・軌道補間:ERP IERP BulB+IAU1980章動→IGS Final+IERS1996章動
・衛星アンテナPCV補正追加
・観測ノイズモデル変更
・その他細かい点多数
軌道補間が臭い。原因突き止めて全解析やり直しだな。ふう、まだ先は長い。

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2005/07/03

PC部品2台分発注。P4 541(3.2G)×2, 775マザー×2, ケース×1, HD 250G×1。\10万弱。残りは余り部品活用。64bitコードを試せるようにEM64T対応。マザーは手持ちのDDR RAMやAGP VGAを使えるよう1世代前のチップセット。Pentium Dは値段、発熱不安とRAMやVGAも買い足さなければならないのでパス。

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2005/07/02

電子基準点1200点PPP結果、F2解比較水平差。九州域で1.5〜2cmの系統差。よく見ると誤差の小さい局もあるので解析時のクラスタを反映しているのかもしれない。
電子基準点500局1年分落とし終わったのでその分は長期解析の予定だが軌道補間もやり直すのでまだ時間がかかる。自動で30局毎に分割処理出来るように改修したので、基本的に流すだけなのだが流すまでの準備が大変。


(本解析には国土地理院電子基準点データを使用しました)

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2005/07/01

PPP高速化。実行時間一覧。PPPの場合実行時間は局数にほぼ比例するはずだが、キャッシュヒット率の影響か30局を超えると効率が落ちる。20〜30局毎に分割処理するのが最も効率が良い。

局数 10 20 30 40 60 85
実行時間 43s 78s 123s 199s 410s 780s
1局当り時間 4.3s 3.9s 4.1s 5.0s 6.8s 9.2s
P4 3.2GHz, Matlab 6.5.1, 2pass, 5分間隔24H, パラメータ推定のみ

GSI 1200局1年分のPPPで1200×365×3.9秒×1.2=570H。プラス2割は観測データ編集実行時間。PC3台で分割処理させて丸8日。局位置は1passと2passと殆ど精度が変わらないので1passにして4日。あと倍くらい速くしたいがもう無理かな。安いPC追加するか。

Matlab 7.0.1 30局 108s。Matlab7から行列ライブラリが最適化されているので1割くらい速い。

緯度75度を越える局の位置が2m近くオフセットを履いてしまう問題発見。Niell mapping関数の内部補間ルーチンにバグ。コツコツとバグを直すだけでいつの間にか精度が上がってくる。精度に最も効くのはモデルなどではなく実はプログラム品質なのだ。

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7月予定

2005/07/07 電子情報通信学会 宇宙・航行エレクトロニクス研究会 (SANE) 原稿〆切

2005/07/15 第49回宇宙科学連合講演会 講演申し込み〆切

2005/07/25-26 15th Astro Dynamics and Flight Mechanics WS at ISAS/JAXA 相模原 (発表 7/26 10:30-11:00)

2005/07/29 電子情報通信学会 宇宙・航行エレクトロニクス研究会 (SANE) at 電子航法研 三鷹

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〜2005/06/30


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