日記・備考録 |
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某所、GTを使っていただいている研究者からmailで解析結果を送っていただく。GPSにより大気遅延を推定したいとのことでGT-PPPによるZTD推定を行い概ね満足な精度が得られたとしている。実応用に使って頂きその結果をフィードバックして改良していければと思う。また、GPS解析の立場で少しは役に立つsuggestionができると思うので、解析技術等について困っている点があれば遠慮なくお問い合わせ下さい。
K.Heki, Monitoring Crustal Deformation in
an Island Arc, IGS contribution to crustal
deformation studies (PPT 15.1MB), IGS 10th Anniversary Symposium: Bern,
Switzerland, March 4, 2004
北大 日置先生のIGS 10周年記念シンポでのプレゼン資料。主に日本での地殻変動観測へのGPSの貢献と技術的課題。適度なユーモアがあってPPTの作りが旨いなあ。高度な内容をさらっと分かりやすく印象的に話す技術はちょっとでも見習いたい。
日本測地学会第106回講演会, 奥州市文化会館, 2006/10/18-20
プログラムが送付されてきた。昨年は確か2会場パラだったが、今年は1会場のみ発表数も少ない。聞きたい講演が無いことは無いのだが結局2泊になってしまうのは辛い。10/末は色々と締め切りもあるので参加は無理かな、と思って良く調べたら朝7:00に出て日帰りで午後のセッション全部に参加出来ることが分かった。行くか。
9月終わり。上半期はいったい何をやっていたのだろう。
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Spaceflight now, Solar flares cause GPS failers, researchers
warn, 27 Sep 2006
太陽フレアでGPS衛星が壊れるという話かと思ったら、単にフレア時に受信機で信号が追跡ができなくなり測位できなくなるので注意、という話だった。現在開かれているIONで発表があったらしい。シンチレーション等の電離層擾乱でも単に電離層遅延変動が大きくなるだけでなく、信号強度が短周期で上下しトラッキングできなくなり、スリップが頻発したり雑音が異常に増えて測位精度が落ちる場合もある。だた太陽フレア時だけでなく時間帯によりある程度定常的に発生している地域もある。何を今更という感じもする。
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ITmedia News, Google Earthのデータは「70Tバイト以上」, 2006/09/28
9/18の日記にGoogle Earthの「実データ総量は1TB位だろうか」と書いたが一桁以上違うようだ。しかし数十TBのデータをあれだけのアクセスレスポンスで検索できるGoogleの技術力は凄い。技術者としてはGoogleのビジネスモデルよりもデータセンターのバックエンドサーバ群で使われている大規模DB構築/運用技術に興味がある。ということで少しGoogleでGoogleについて検索。
CNET Japan, いま明かされる、グーグル・データセンターの秘密, 2005/03/04
メディア・パブ, Googleのデータセンターの謎、米技術コラムニストが大胆に予測, 2005/11/22
H.Baba, Googleの秘密 - PageRank徹底解説
最後はついでなのでPageRankアルゴリズムに関する分かりやすい技術解説。PageRankを求める問題を、Web頁間リンクを推移確率行列で表しその行列の最大固有値に属する固有ベクトルを求める問題に帰着させている。いくらスパースと言ってもn=1010規模の行列の固有値分解を実際にどう実装しているのか想像もつかないのだが、超大規模行列を使った数値解析の応用問題として大変興味深い。
Google自体はビジネスも好調で優秀な人材を多数雇用し高度な技術を次々開発していることは確かなのだが、システムの複雑化/大規模化が進みすぎて危うい部分も少なからず感じる。システムは1人の人間が全体を把握できる程度に単純/小規模に維持する様に努めないとどこかで破綻する、と考えるのは少し頭が古いのだろうな。
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一昨日紹介のJPL TGD推定について追加。TGDは長期でも十分に安定だが幾つかの衛星で構成変更(送信機切替等)に伴い値の変動が見られたとしている。またJPLが算出しているTGDは雑音低減のため10日分推定値の平均が使われている。日間のばらつきで0.2-0.3ns(6-9cm)としているが、薄膜球殻の様な簡単な電離層モデルでこんなに精度が出るのは本当なのかという気もする。本当なら電離層補正もそれとコンパラな精度が出るはずだが現状のGIMの精度は一桁違う。この差は何だろう。
精密測位に対するTGD/DCB変動の影響を考える。相対測位では受信機間差で消去されるので関係ない。PPPにおいては精密暦時計がP1-P2電離層フリーで決定されているのでP1を取れる受信機では関係ない。P1を取れない受信機でP1-C1バイアス固定で解析を行う場合、P1-C1バイアス変動が測位精度に影響を与える可能性はある。IGSでもP1-C1バイアス固定で解析しているので変動がプロダクトに悪影響を与えている可能性はある(特に時計)。ただIGSではC1しか取れない受信機は現在は殆ど使っていないはずではある。
GPS Solutions High Accuracy GPS Data Analysis
& Consulting
GPS解析ソフトRTNETを開発しているGPS Solutions社のWebサイト。What's
NewにリアルタイムPPPを応用したGPS地震計及び対流圏遅延推定の結果がある。詳細はよく分からないが軌道はIGU予報値を使って時計は基準局網のデータを使ってリアルタイム推定しているらしい。後処理に比肩する精度が出ている様に見える。リアルタイムPPP(を応用したDGPS)ではNavCom
StarFireやカナダNRCan GPS-Cが有名だが、今までのところなかなか精度が出ていない。リアルタイムでは後処理に比較しスリップ検出やQCも難しいので技術的課題も多い。色々なメリットもあるが単純な測位面ではネットワークRTKと競合するので精度が出ないと普及するのは難しいかも知れない。
P.Heroux et al., GPS-C Distribution Using NTRIP, NTRIP Symposium and Workshop, 2006
現行GEO衛星で放送されているカナダNRCanのGPS-C補正情報(CDGPS)をNTRIPを使ってInternetで流すという話。現行CDGPSの精度があるがサブdmクラスでまだネットワークRTKと比肩できるレベルにはない様だ。(広大なカナダでは密な基準局が取れないのでネットワークRTKでは精度が出ないのかもしれないが)
Spaceflight Now, Updating the GPS satellite constellation
takes next step, 25 Sep 2006
2機目の近代化GPS衛星、2006/9/25 18:50UTCにデルタ2ロケットで打ち上げ成功。記事ではGPS
2RとあるだけでBlock IIRなのかIIR-Mなのか分からないがCurrent GPS Constellationを見るとやはりIIR-Mの様だ。SVN52/PRN31。時計障害傾向の見えるIIA-12
(Plane A2/SVN25/PRN25) と置き換える予定としている。次衛星打ち上げ予定11/14。
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少し調べたいことがあって昨年6月くらいの備考録を読み直していたのだが、毎日精力的に開発をしていたことに改めて驚く。それに比較し最近の体たらく。コードの生産効率で比較して、ここのところと100倍くらい違うかもしれない。これは何とかしないといけない。
でも本Webサイトは測位研究者/技術者にとってはやたら密度の濃い有益な情報が詰まっているなあと、自分自身で感心。ということでここを読んだ学生さんは、この備考録を最初から全部熟読する様に。そしてたまに書いてあるウソを識別してちゃんと指摘するように。
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C.H.Yinger et al., GPS Satellite Interfrequency Biases, ION 55th Annual Meeting, 1999
GPS航法メッセージに含まれるTGDはJPLの推定値が使われている様だ(1999/4以降)。JPLのTGD推定手法とその精度評価結果の概説。100局程度の観測データを使ってTEC分布(GIM)と衛星/受信機バイアスをカルマンフィルタで15分間隔で同時推定。電離層は高度450kmの薄膜球殻モデル。地磁気緯度-SunFix座標の格子点+bi-linear
or bi-cubic-spline補間。TGDは24H毎に一定とし幾つかの校正済み基準受信機を使って絶対値推定。TGDの日間変動は0.2-0.3ns程度で長期にわたって十分安定。1999以前に使われていたFactory
Calibration決定値との比較で測位精度が改善されたとしている。
「日本版」衛星重力ミッションの実現について, 平成17年度東京大学地震研究所共同利用(研究集会),
2005/12/14-15
昨年12月に行われた衛星重力ミッションに関する研究集会。後刷論文集がdownload可能になっている。衛星搭載加速度計による中上層大気観測が興味深かった。キネマティックGPSでも衛星の加速度は(間接的に)計測できるのだが、加速度計に比較して精度や雑音はどうなのだろうか?
Japanese 25-year Reanalysis Project, (財)電力中央研究所/気象庁気象研究所気象衛星センター
1979年からの25年分の大気3次元データセット(数値予報モデル)の長期再解析結果が公開されている。全球2.5度格子22層、6H間隔。データはGRIBで提供され、研究利用には登録が必要。なおNCEPやECMWFでも同じ様な事をやっている。長期にわたる数値解析ではモデルや解析手法が段階的に改良され、その結果解析結果の時間的連続性が失われるため長期変動を解析したい研究者に取ってはこれらの改良は痛し痒しの部分も多い。その点で再解析の価値がある。GPSでもIGSが最新の解析モデルを使用した再解析を始めようとしているがデータ量が膨大になるため手間も時間も随分とかかる様だ。
再解析のためには過去の観測データを全てアーカイブしておく必要があるが、場合によってはこの点が問題になる場合も多いだろう。例えばGPSでも1-Hz観測データを全部保存しようとすると結構な設備が必要になる。1-Hz
GPS観測データは高圧縮形式で保存すれば1局あたり10MB/日位であるから、例えばGEONET10年分で10M×1200×365×10=44TBの容量が必要になる。ただこれは現在の技術ではラック1本位の中規模RAIDストレージで賄える位の量で大したことはないとも言える。ところで国土地理院自身では1-Hz
GEONETデータの長期保存はしていないと聞いたことがあるのだが本当だろうか?
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第50回 宇宙科学技術連合講演会, 2006/11/8〜10, 北九州国際会議場
プログラムが更新されている。少し聞きたい講演があるのだが。飛行機なら松本-福岡便があるので5時間以内で行けそう。どうしよう。
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GRLに送った論文の状況がWeb上から参照できるのだが、やっと9/19にStageが"Under Review"になった。AcceptかRejectかの結果が分かるのは何時ぐらいになるのだろうか。
Misra&Engeに恨みがあるわけでは全然ないのだが、またMisra&Engeに問題を見つけたので記録のため書いておく。問題は4.8.2
ローカルエリアDGPSと相対測位の項。DGPS用疑似距離補正値(PRC)として基準局疑似距離測定値から幾何学距離を引いた値を使うよう書かれている(様に取れる)。ただこれだけだと基準局の受信機時計誤差がバイアスとしてPRCに乗ってしまう。(補正済)疑似距離はローバでの信号送信時刻計算に使われるので、このバイアスは衛星位置計算に誤差として現れることになり、最終的に測位精度を悪化させる。正しくは基準局受信機時計誤差をPRCから除いてあげる必要がある。全衛星のPRCに乗った同一オフセットはローバの受信機時計誤差推定値に流れるだけで測位解には影響を与えないと勘違いしていた。質問を頂き気が付いた。
それにしてもDGPSについても補正量生成アルゴリズムの良い解説が殆どない。単独測位、DGPS、精密測位、全ての測位アルゴリズムについて、(英文文献も含め)どの文献を見ても明快で正しく分かりやすい解説が殆ど見つからないのは困ったことだ。やはり自分で書くしかないのだろうか。
PRCに関してDGPS規格であるRTCM SC-104(v.2.3)を再度調べてみた。重要なところなので少し長いが関連分を引用してみる。(4.3.1 Message Type 1 - Differential GPS Corrections (Fixed))
> The pseudorange correction PRC(t0) is
the difference between the computed geometric
range (see
> Appendix C) and the adjusted pseudorange.
The adjusted pseudorange is the raw pseudorange
> measurement adjusted for:
> a. Receiver clock offset, scaled to
meters
> b. Tgd, the L1-L2 group delay correction
(see GPS/SPS Signal Specification)
> c. Satellite clock offset, scaled to
meters (see GPS/SPS Signal Specification)
> d. Satelite relativistic correction,
scaled to meters (see GPS/SPS Signal Specification)
> The reference station shall apply neither
ionospheric nor tropospheric delay models
in deriving the
> differential corrections. The referece
station clock offset will be a common offset
in all pseudorange
> corrections, which does not affect position
calculations. The reference station may also
adjust the
> PRC(t0) for multipath effects.
RTCM規格準拠のPRCは補正済疑似距離測定値から幾何学距離を引いたものであり、補正には受信機時計誤差、TGD、衛星時計誤差、相対論効果を含み、電離層遅延、対流圏遅延を含まないとしている。従ってPRC生成時には基準局受信機時計誤差を考慮する必要がある。ただ最後から2文目の"The referece staion clock offset ... does not affect position calculations"の注記は何の意図で書いているのか不明だし、上で書いたように内容は間違いである。なお最後の文は単純な実装では基準局のマルチパスがPRCに雑音として乗ってしまうので、それを削減するため(例えばキャリアスムージングを使って)マルチパスを補正しても良いとの意味だろう。
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GPS/GNSSシンポジウム2006, 2006/11/15〜17, 東京海洋大
申し込み (予稿)。原稿締切10/30。締切までに少しは新しい結果を盛り込むつもり。
先進的軌道計測・決定技術に関する研究会, 2006/10/31, 東京国際フォーラム
特にALOSの軌道決定技術や精度に興味があるので聞きに行くつもり。
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Google Earth, Google
9歳の娘に使い方を教えたら「ぐるぐるアースやりたーい」と仕事のじゃまをしにくる。たしかに地球がぐるぐる回るのだけれど。UIの設計が素晴らしい。都市部では人が識別できるので0.5m程度の分解能はある様だ。地球の陸地面積は約1.5×1014m2なので、この解像度で全部の地表画像データを保存すると約6×1014pixel、24bit/pixelとして1.8PB、圧縮しても数百TBは必要。今のところ都市部以外は解像度がかなり低いデータしかないので実データ総量は1TB位だろうか。ただアクセスレスポンスは相当速いし、どの程度の規模の高速サーバ群が動いているのだろうか? 東京で道路地図を重ね合わせ表示させると、南北に数m〜10mのずれが認められる。これは地図座標系変換の問題?
(補足: Wikipediaによると標準解像度15m、都市部、施設等の解像度は1mの様。22:56追記)
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GRL論文、長すぎるとか表を最後にしろとうるさく指摘されたので修正して送る。ちゃんとした論文誌は形式や体裁など内容以外の所をちゃんとするのがかなり面倒。まだまだ関門は沢山ありそう。
日本地震学会2006年秋期大会, 名古屋国際会議場, 10/31〜11/2
ポスターだがHR-PPPを使った解析の成果を発表して頂ける様だ(P032)。水沢に比べるとまだ近いが名古屋も遠い。最近は長く電車に乗るだけでなんとなく億劫。どうしようか。
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GRLに送った論文の図の形式がダメだと言われたので再度docとepsファイルに分けて再送信。Web上から出来るのだけれど何がなんだかよく分からない。ちゃんと送れているのだろうか。ついでに解析結果のバックアップ。解析しなおせば良いので基本的に解析結果のバックアップは取っていないのだが、今HDが飛ぶと結果が再現できない可能性がある。念のためバックアップ。もう少し解析用のワーキングディレクトリをちゃんと整理して分かるようにした方が良いとは思うのだが。
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VMware+Fedraで画面を大きくできない件、kernel-develパッケージを入れてVMware Toolsを再インストールしたらあっけなく解決。後はVMware上のLinuxからWindowsファイルシステムのmountをしたい。VMwareの機能では直接NTFSをマウント出来なそうだがsambaを使えばいいのか。
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Mycom, 韓国がGalileoに参加-欧州独自の衛星ナビシステムに加わる各国, 2006/9/11
Galileoへ参加が着々と増えているようだ。GPSには技術基盤として危うい部分が少なからずあるので、他の測位衛星が早く整備され選択肢が増えることが世界の安定のため大事な気がする。さて日本はどうするのだろう。
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J.Langbein, High-rate real-time GPS network at Parkfield:
Utility for detecting fault slip and seismic
displacements, Geophys. Res. Lett., 2004
固定観測点1-HzキネマティックGPS解のPSD(Power
Spectral Density) 解析。
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VMware+Linux環境で画面解像度を上げようと色々。少し作業したがVMware toolsはうまくインストールできないしXのupdate方法もよく分からない。この手の作業はひたすら情報と経験がものを言う不毛な時間。少しは経験値は上がるが汎用性の乏しい貧しい知識しか得られない。計算機による効率化で浮いた時間はこうしてブラックホールの様に計算機にまた食い尽くされていく。数学の理論書を読んだ方がずっと有用な時間の使い方だろうとつくづく思う。
Matlabのパスワードが送られてきたのでR2006bをインストール。早速ベンチ。
>>bench,a=rand(2000);b=rand(2000);tic;c=a*b;toc,tic;c=inv(a);toc
LU | FFT | ODE | Sparse | 2-D | 3-D | a*b | inv(a) | version |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0.16 | 0.19 | 0.16 | 0.32 | 0.33 | 0.70 | 2.72 | 3.38 | 7.3 (R2006b) |
- | - | - | - | - | - | 6.89 | 7.31 | 7.0.1 (R14SP1) |
0.33 | 0.33 | 0.20 | 0.31 | 0.47 | 0.17 | 6.91 | 7.59 | 6.5.1 (R13SP1) |
7.0.1はbenchがopengl内部でcoreを吐いてエラー終了してしまう。R2006bは行列演算が圧倒的に速い。C2Dに最適化した行列ライブラリを使っている様だが2プロセス同時実行しても殆ど実行時間が変わらないのでまだマルチスレッド化はされていないらしい。2000×2000の行列積には(2000+1999)×2000×2000の積和演算が必要なので6GFlops位出ている事になる。C2D SIMD演算器の理論最大演算速度は4op/clk/cpuだからE6600(シングルスレッド)では2.4G×4=9.6GFlops。実行効率はかなり良いと言える。2スレッドで実効10GFlopsは出るだろう。
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R. M. Nikolaids et al., Seismic wave observations with the Global
Positioning System , Journal of Geophy. Res, 106(B10), 2001
1999 南カリフォルニアHector Mine地震(Mw7.1)をGPSで解析した事例。30sサンプリング。地震計や震源モデルとの比較。中基線+瞬時AR+sidereal
filter。1Hz搬送波位相観測でもエポック間相関は小さいとしてhigh-rate観測が有効としている。上下変動の結果が抜けているのはやはりフェアではない気がする。(補足: Bockらは測位解の垂直誤差を出さない場合が多い様だ。垂直変動は水平変動と同様に震源過程解析に重要な情報なので、GPS地震計の限界や課題を明確にするためにも評価結果を明示すべきだと思う。23:06)
地震の直接波を取ろうとすると10Hzサンプリングがほしくなるが、この論文にもあるように受信機によっては内部のスムージングのせいで高周波応答性が悪くなる場合がある様だ。GPS地震計をより実用的にするには解決しなければいけない課題は多い。
Matlab保守サービス購入。GTサポート用に保守が切れてからの全バージョンを頼んでいたので4つのパッケージが届いた。R14SP2(7.0.2), R14SP3(7.0.3), R2006a(7.2), R2006b(7.3)。どうも今は年2回の定期リリースに変わったようだ。全部入れても仕方ないのでとりあえず最新版だけインストール、と思ったらライセンスパスワード用メールがまだ届いていないので入れられない。まあ別に急がないのだけれど。
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結局秋の測地学会は出し損ねてしまった。と言っても作らないとネタがないので仕方ない。春からの課題であった英文論文も一応submitしたし当分地道な作業を続けよう。HR-PPP論文が通ってhigh-rate衛星時計の有用性の認識が広まればIGS等でもプロダクト化の機運も高まるだろう。英文論文を書いた第一の目的はこの点。
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別にMisra&Engeを目の敵にしている訳では全然無いのだが、重要なところなのであえてしつこく8/29, 8/30に書いた件につき補足。相対測位について以下の様な図を書いて幾何学距離の(受信機間)一重差ρrukを説明している参考書が多い。以下の図では基準局とローバで受信した測位信号の発信衛星位置が同一であることを仮定しているが、受信機時計誤差及び伝播時間差のためこれは一般には成り立たない。多くの受信機時計誤差は最大0.5ms位あるから同一エポックのデータでも基準局とローバ間で最大1msの受信サンプリングタイミングの差が発生する。これは衛星位置にして4m、視線方向距離に直しても数10cm以上に相当するから精密測位では全く無視できない。従って以下の様な図で説明している参考書は間違いである。またMisra&Engeの説明は二重に間違っている。正しくは受信機時計誤差や伝播時間差も考慮して発信時刻と衛星位置を求め幾何学距離を計算してから差を取らなければならない。
一重差説明図 (間違い)
差を取る場合の注意。衛星位置を放送暦で求める場合、基準局とローバ側で異なった航法メッセージを使うと問題が出る場合がある。すなわち異なる放送暦は不連続の場合があり、それに起因して幾何学距離差に大きな誤差が生じる。従って差を取る場合、同一の放送暦を使用しなければならない。単純な二重差モデルでも色々と気を付けなければいけない点は多い。
R. M. Nikolaids et al., Seismic wave observations with the Global
Positioning System , Journal of Geophy. Res, 106(B10), 2001
GPS地震計についての割と古めの論文。$9也。細かくは後から読む。
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HR-PPP論文をGRLにsubmitするためにアブストの単語数を減らしたり、cover letterを書いたりして気付いたら夜中の3:00を過ぎていた。submitする際にレビューアを5名以上指定しなければならないので、仕方なく全然面識のない著名研究者を勝手に書いてしまったがいいのだろうか。こんだけ苦労してrejectされたらガックリするだろうな。とりあえず今日は寝る。(4:03)
T. Takasu, High-rate Precise Point Positioning: Detection of Seismic Waves Caused by the Sumatra-Andaman Earthquake by using 1-Hz GPS data, Preprint (submitted to Geophys. Res. Lett.)
割と簡単にVMwareとFedoraが動くようになった。これで不安定なcygwinを使わなくて済む。でも簡単には画面解像度を800×600より上げられない様だしLinuxは相変わらず設定が色々と面倒。次はサブPCをC2Dに入れ替えてWindows Vista βか64bit Windowsでも入れてみようか。Matlab最新版を注文中だがこれには64bit版が含まれている様なので大量のメモリを使った解析をしてみたい。
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HR-PPP論文の英文校正が上がってきた。予想通り、冠詞の使い方が無茶苦茶。前置詞も結構直されている。丁寧に見てくれているし価格相応の価値はある様に思う。ただ内容を理解して添削してくれる訳ではないから、悪い部分の指摘修正はしてくれても、内容に即したより良い語彙や表現に直してくれるわけではない。従って文意がちゃんと取れる最低限の文章になるだけで文章のグレードが上がるわけではない。もちろん論文の価値は文章ではなく内容にあることは論を待たないのではあるが。
論文の直しをしながら、Windows版VMware serverとFedra Core 5のダウンロードとインストール。ところで32bit Window上のVMwareで64bit Linuxは動くのだろうか。
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