日記・備考録
Diary/Memorandum

2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010/ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 | 2011
August September 2010
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
October | Home

2010/10/02〜

...................................................................................................................................

2010/09/28

JAXA, 準天頂衛星初号機「みちびき」の準天頂軌道投入について, 2010/09/27

とのこと。順調でなにより。でも12月以降色々と忙しくなりそう。

-------------------

結局、IS-GPS/GNSS 2010原稿間に合わず。でも〆切が10/2 or 10/15に延びてた (参照)。ラッキー。これ見ると10/2に間に合えばpeer reviewに回るみたい。
ということで10/1〆切のION論文を先に仕上げることにする。最近こんなのばっか。

...................................................................................................................................

2010/09/25

自分の発表に被っていたのでprogram update sessionは全部は聞けなかったのだが、資料をダウンロードしたので それに基づいて各GNSSのステータス/予定だけ拾っておく。

(1) GPS
・2011年6月にBlock IIF 2号機打ち上げ。
・2016年 L2C 24衛星、2019年 L5 24衛星。
・2014年 Block III初号機、2021年 Block III 24衛星。
・SVN-49については"in test mode"と書いているだけなので多分復旧は諦めているのではないか。

(2) GLONASS
・2010年12月に次のGLONASS-M 3機打ち上げ。
・2010年12月にGLONASS-Kの試験開始。GLONASS-K1でL3 CDMA信号追加。
・2013年のGLONASS-K2でL1/L2 CDMA信号 (OpenはL1のみ) を追加。
・2015年からのGLONASS-KMでL1/L2/L5 CDMA信号を追加。
・ここ3年で5倍の精度向上。SISREは現在既にGPSと同等。
・2011-2013年にSDCM (ロシア版SBAS) 用GEO衛星3機打ち上げ。

(3) Galileo
・2011年中旬にIOV初号機 (2機) 打ち上げ。2011年中にIOV 4機。
・2012年2機、2013年8機、2014年4機 FOC衛星打ち上げ。
・2014年に18機構成でOS, PRS, SARサービスを開始。
・2016年に30機構成で全サービスを開始。

(4) QZSS
・既報の通り。

なおCompassは発表がなく, IRNSSは講演キャンセルになった様。

-------------------

JAXA, 準天頂衛星初号機「みちびき」のクリティカル運用の終了について, 2010/09/22
今のところ順調なようで、初期機能確認中の10/19には測位信号の送信が開始される予定。
初期機能確認後の12月には技術実証、利用実証が開始される。なお、この実証試験には、PDA型、 ロガー型、複数周波数対応型、のQZSS対応受信機が使われる。 「みちびき」とGPSの両信号に対応したチップ開発の話も複数チップベンダで進んでいるとのこと。

...................................................................................................................................

2010/09/24

ION@ポートランド3日目。
今日は興味深い講演を2本聞けた。メモのため、とりあえずリストしておく。細かくは後から論文を読む。

D.Laurinchesse et al., Real-time PPP with Undifferenced Integer Ambiguity Resolution, Experimental Results and Demonstration, ION 2010, Portland, 2010
G.V.Meerbergen et al., A Noval Decision Directed Kalman Filter to Improve RTK Porformance, ION GNSS 2010, Portland, 2010

補足:
論文をざっと読んだ。 上の論文はリアルタイムPPP-ARの開発に関するもの。完成度は高く、多分実用化も近い。 下の論文はRTKにおけるより精密なモデルの取扱いに関するもの。地味だが価値は高い。 後は対流圏と電離層の精密なモデル化。 パズルのピースが一つ一つとハマっていく様な感じでちょっと楽しい。 後は自分がその現場のなるべく近くに居たいなあという感じ。$840は高い、と書いてしまったがこの 2本の講演を聞けただけで十分元をとったかなとは思う。(9/25追記)

...................................................................................................................................

2010/09/23

ION@ポートランド2日目 (plenaryも入れれば3日目)。
セッションを渡り歩いて色々と聴講。やっぱり全体としては発表の質は落ちている気がする。 これで$840は高い。でもセッションに1件か2件、凄い発表があるのはさすがとも言える。
聞いた範囲では内容は大したことはないのだが、INS/GPS integrationの研究が目につく。 やはり、これは技術トレンドなのかなとは思う。
こちらで初めてお会いした何人かの日本の方に「備考録読んでます」と言って頂く。 ここも日本の衛星測位技術の向上に、ほんの少しは貢献しているのかもしれない。

...................................................................................................................................

2010/09/22

ION@ポートランドなう。
結局セッションにキャンセルが出て発表をすることになった。 またもや酷い英語だなあと思いながらもとりあえず発表終了。 このテーマも頑張れば実用化まで行けそうな気がするのであと3年くらいは細々と続けたいなあとは思っている。
他の発表も聞いたけど面白い発表はほとんどなかった。 2年前と比較しても発表のレベルが下がっている気がする。 receptionの食事もショボイかったしこの業界も不景気なのかもしれない。

...................................................................................................................................

2010/09/21

QZ-vision, なびたん「みちびきさんの同業者」の巻
しかしCompassやGAGANがマンガになるとは思わなかった。ぜひ、単行本化してほしい。

...................................................................................................................................

2010/09/20

T.Takasu et al., Kalman-filter-based integer ambiguity resolution strategy for long-baseline RTK with ionosphere and troposphere estimation, ION GNSS 2010, September 21-24, Oregon Convention Center, Portland, U.S.
これはバックアップ兼用。まだ発表できるか未定だけど、現地で直すかもしれない。

-------------------

S.Hilla, [IGSMAIL-6245] Minor addtiions to the SP3-c format document, August 31, 2010
R.Schmid, [IGSMAIL-6260] Update: rcvr_ant.tab, antex14.txt, September 15, 2010
SP3とANTEXに公式にQZSSの定義が追加されたので貼っておく。まだ内容をちゃんと確認していないがRTKLIB 2.4.0のQZSS拡張はこれらの規定に準拠しているはずなので、QZSS用データがリリースされてもそのまま使えるはずである。

...................................................................................................................................

2010/09/14

長基線KGPSの1月分。条件は昨日と同じ。これくらいなら十分使えると思えるのだけど、7月分の結果を個別にみるとちょっと実用には厳しいなという感じで、まだ色々と改良が必要だろう。


Fixed Solution Precision (left) and Fixing-Ratio (right) of Long Baseline KGPS by RTKLIB 2.4.1b, Ephemeris=IGU
2009/1/1-1/7, Baseline Length=28.7-1099.9 km, Rover: 476 GEONET stations, Ref: GEONET 2110 Tsukuba1

ついでなので上記解平均値と地理院F3解との差を貼っておく。アンテナモデルはIGS05.ATX (GSI用は無いのでレドームなし) を使っているのだが、架台によって差が出ているので多分F3解はGSIで検定したモデルを使っているのではないか。(参考)

...................................................................................................................................

2010/09/13

覚書:
GPS航法メッセージのエフェメリス計算で昇交点経度を求める式はIS-GPSによると以下である。

Ωk = Ω0+ (Ωdot - Ωdote) tk - Ωdote toe

この式は良く考えるとちょっと変である。問題は Ω0が何を表しているか? である。ちょっと見ると Ω0はGPS週先頭における昇交点経度を表しているのかと思えるが実は違う。もしGPS週先頭における昇点経度を表しているなら右辺最後の項の係数は -Ωdoteではなくて、(Ωdot - Ωdote) でなければいけないからである。多分これは航法メッセージ設計 (あるいはICD) のバグで、それが定着してしまったものではないかと思う。なおCNAVでは以下の様にΔΩdot項が増えて、Ω0-nは"the right ascension angle at the weekly epoch (Ω0-w) propagated to the reference time at the rate of right ascension {ΩdotREF} "と注記が追加されている。(Table 30-II)

Ωdot = ΩdotREF+ ΔΩdot
Ωk = Ω0-n+ (Ωdot - Ωdote) tk - Ωdote toe

補足: 実はCNAVの注記も意味が良く分からない。"propagated" ってどういう意味だろう。でも、ここは意味を考えてもしようがなくて、逆にこの式に合うように各係数を決定しているのだから、この通り計算すれば最も精度よく計算できるよ、という単なるconventionの意味しかない。(17:35追記)

-------------------

GEONET局476基線 (基線長: 28.7-1099.9km) の長基線KGPS評価結果を貼っておく。基準局は2110つくば1。2009/7/1-7の1週間解。暦はIGU (predicted)。誤差はRMSではなく標準偏差である。どうもF3解比較だと明らかなオフセットが出るので。計算時間は15h 19mもかかった (i7 930 2.8GHz)。ホントはGEONET全局2年分の解析を流したいのだが、このペースでは5カ月以上かかる。ファイル入出力を含めて1エポック6ms弱かかっているのでPPPに比較してかなり遅い (PPPは1.5ms位)。でも大量に流さないと実用的な評価にならないし問題点もなかなか見えてこないので、今後プログラムを最適化するのと共に少し時間をかけて評価・改良する予定。クラスタ欲しいな。


Fixed Solution Precision (left) and Fixing-Ratio (right) of Long Baseline KGPS by RTKLIB 2.4.1b, Ephemeris=IGU
2009/7/1-7/7, Baseline Length=28.7-1099.9 km, Rover: 476 GEONET stations, Ref: GEONET 2110 Tsukuba1

...................................................................................................................................

2010/09/12

H.P.Langtangen, Python Scripting for Computational Science 3rd Edition, Springer, 2009
Amazonで届いた参考書。Python+NumPy+SciPy+matplotlibの組み合わせは強力だなあ。やっとこれでmatlabとはおさらばできそう。

-------------------

RTKLIB 2.4.1bによるRTKとほぼ同条件の長基線KGPS結果。Fix率だけの統計。月初め7日分の連続解 (30s間隔 168H) による結果である。オレンジはmis-fixが見られるところ。最終的にmis-fixを0にしたい。あと、2009年は太陽活動極小期なので、問題は太陽活動の影響がどれだけ出るか。多分IONには間に合わないが、これは2004年のデータセットで確認の予定。

Fixing-Raio of Long Baseline KGPS by RTKLIB 2.4.1b, Ephemeris=IGU
Rov Ref BL
(km)
2009/ Average
1/1-7 2/1-7 3/1-7 4/1-7 5/1-7 6/1-7 7/1-7 8/1-7 9/1-7 10/1-7 11/1-7 12/1-7
2110 3023 50.6 99.9% 99.9% 100% 99.7% 98.8% 99.7% 99.4% 99.3% 96.7% 97.8% 99.6% 99.9% 98.5%
0586 100.2 99.8% 99.4% 99.6% 98.6% 99.2% 98.5% 98.1% 97.6% 99.2% 98.3% 98.7% 99.1% 98.8%
0562 150.8 99.8% 99.2% 99.8% 97.5% 99.3% 99.4% 98.7% 97.2% 99.4%       99.4%
0241 200.4 99.8% 99.8% 99.7% 98.9% 99.1% 99.6% 98.9% 99.1% 99.0% 98.3% 98.7% 99.3% 98.8%
0601 250.3 99.8% 99.8% 99.8% 99.2% 99.3% 99.1% 94.4% 98.1% 98.1% 94.3% 92.1% 99.6% 96.0%
0174 300.0 99.3% 99.6% 99.6% 98.9% 99.4% 99.5% 99.5% 98.9% 98.9% 97.5% 99.0% 99.0% 98.6%
0579 351.9 99.7% 99.8% 98.6% 96.9% 99.1% 98.8% 91.1% 96.4% 97.3% 97.1% 98.5% 98.9% 98.0%
0324 400.6 98.5% 98.3% 98.6% 97.5% 90.8% 94.4% 91.0% 91.3% 94.1% 92.6% 95.4% 98.9% 95.3%
0905 450.6 99.2% 99.5% 99.5% 97.5% 97.1% 98.5% 99.0% 97.0% 97.9% 93.8% 98.4% 98.9% 97.3%
0369 500.4 99.3% 99.1% 99.3% 96.9% 99.0% 98.5% 97.3% 98.6% 96.8% 97.8% 98.0% 99.3% 98.0%
0837 995.6 92.4% 92.4% 89.6% 90.8% 89.8% 86.4% 86.1% 88.1% 84.7% 85.2% 86.5% 90.3% 86.7%

...................................................................................................................................

2010/09/11

RTKLIB 2.4.1bによるRTKとほぼ同条件の長基線KGPS結果。これくらいなら500kmまでなら十分使えるかなあという感じである。7月の350km基線解だけmis-fixしている。3月に2.3.1b (RTKに関してはほぼ2.4.0と同じ) で解析した結果と比較してずいぶんと改良されていることが分かる。

-------------------

QZSS初号機「みちびき」、2010/09/11 11:17 UTC、種子島宇宙センタからH-IIA 18号機で打ち上げ成功。今後2週間かけて所定の軌道に移行し、3カ月程のチェックアウト期間を置いた後、順調なら年末にもGPS補完・補強に関する技術実証・利用実証のための実験が開始される予定。その後、実験の結果評価を受けて3機構成の第2段階へ進むかどうかが決定される。
まずは最初の関門を通過したということで、QZSS初号機の開発に携わった多くの関係者の方々、おめでとうございました。

補足: JAXA, SpaceFlightNow, InsideGNSS, Sky News, Sydney Moning Herald, Indian Express (2010/9/12 7:00追記)

-------------------

杉本, 柴崎 編, GPSハンドブック, 朝倉書店, 2010
もうすぐ出るらしいので案内を貼っておく。立命館 杉本先生と東大 柴崎先生の編集で色んな方が少しずつ原稿を書いている。実はちょっとだけ原稿を書いたのだけど、それももう2年位前の話。出版までずいぶんとかかっている。少し高いのでお勧めしにくいのだけど、とりあえず書店でパラパラと立ち読みして気に入ればお買い上げ下さい。

-------------------

鈴木, 測位衛星システムこそ宇宙政策の急務, WEDGE Infinity, 2010/6/23
QZSS初号機が上がるということで今後その必要性や費用対効果について色々と議論されるだろうが、こういう見方もあるということでとりあえず貼っておく。ついでに、「準天頂衛星「みちびき」前途に期待と不安」

...................................................................................................................................

2010/09/09

準天頂衛星初号機みちびき特設サイト ライブ中継〜JAXA放送〜
あさって夜QZSS初号機打ち上げ。お約束の打ち上げライブ中継サイト。

...................................................................................................................................

2010/09/08

matplotlib
GNSSデータの解析結果をまとめてグラフ化するとか、出力を編集してまとめてその結果を再出力したいけど、プログラム書いてコンパイルするのは面倒で、スクリプトで済ませたいという場合が良くある。今までこういう場合、matlabを使っていたのだけど、最近はRTKLIBを使った解析が多いので不都合な場合も多い。また、matlabのメンテフィーはあまりに高いので、もういい加減保守契約を切りたい。といっても一度慣れてしまうとmatlabのプロットの強力さは捨てがたい。ということで、ずっとフリーのスクリプト言語で、Cのライブラリを簡単にリンクでき、かつmatlab並みのグラフが書けるのを探していたのだけど、pythonのライブラリでmatplotlibと言うのが評判が良い様だ。matlabのplotに仕様が似ているしサンプルを見てみると相当に綺麗。python自体は科学技術計算用のライブラリが充実しているので、前からちょっと使ってみたかったので、今後は、matlabからpython+matplotlibに移行することにする。RTKLIBのpython-bindもそのうち作る予定。

...................................................................................................................................

2010/09/05

MIZU局を基準局とした436km基線RTKの1Hz-約4日分の結果を貼っておく。No.54のバグのせいで下に12.06cmずれている。9/3 21:15と21:34にRTKNAVIを再起動している他は連続運転。Singleになっているのは一時的にMIZU局のデータが止まったところ。9/2 18:00-にFix解が外れていくのは、解析してみるとPRN21がmis-fixしている。さて問題は9/3 8:00-9/4 9:00にかけての解の乱れ。エフェメリス (IGU) の問題だとすると対応が難しいが、なんとなく対流圏かなあ。これは原因を解析して改良の予定。条件の悪い夏ではあるが、これくらいの性能だとちょっとまだ実用には使えないなあという感じである。


Long Baseline RTK result (BL=436km) 2010/9/1 3:18 - 9/5 7:27 GPST 1Hz by RTKNAVI 2.4.0
Rover:NovAtel OEMV-3G/GPS-702-GG, Reference: IGS MIZU via IGS-IP

-------------------

Information from GLONASS Control Center

> NOTICE ADVISORY TO GLONASS USERS (NAGU) 048-100903
> SUBJ: LAUNCH SUMMARY BLOCK 42
> 1.CONDITION: BLOCK 42 LAUNCH WAS PERFORMED ON 02.09.2010 (04:53:50).
> THE NEW GLONASS SATELLITE (736/KOSMOS 2464, 737/KOSMOS 2465, 738/KOSMOS 2466, )
> WILL BE PLACED INTO SLOTS 09/12/16 CORRESPONDENTLY.
> 2.USERS ARE REMINDED TO UPDATE ALMANACS IF NECESSAR

9/2に打ち上げられたGLONASSの続報。やはり、2機のGLONASS-M衛星は空いているスロット12, 16に入り、1機はL2の故障しているスロット9衛星(GLONASS 722) と置き換えられるとのこと。

...................................................................................................................................

2010/09/03

InsideGNSS, GLONASS-M Satellite Launch Highlights Ambitious Promotion of Russia's Revitalized GNSS, September 2, 2010
昨日のGLONASS打ち上げの件で誤解していたのだけど、次の打ち上げは11/30のGLONASS-Mトリオの様だ。ということは12月のGLONASS-Kの打ち上げは単独ということだろうか ? 昨日の打ち上げで軌道上のGLONASS衛星は26機、11月の打ち上げで29機、現在のGLONASSの航法メッセージ設計では24機を超える衛星の同時運用はできないから、5機がスペア/バックアップに回る事になる。12月にGLONASS-K初号機が上がるとバックアップが (最低) 6機となり、ずいぶんと贅沢なコンフィギュレーションとなる。航法メッセージを拡張して、GPSと同じように30機同時運用してくれないだろうか。

...................................................................................................................................

2010/09/02

MIZU局を基準局とした436km基線RTKの1Hz-24Hの結果が出たので貼っておく。10:15付近で一時的に解がsingleになっているのは、MIZU局のデータが1分ほど止まったため。それ以外は100%Fixして、Fix解の標準偏差E/N/Uは0.9cm/1.2cm/4.1cmであった。上下のオフセットが13cm出ている原因は今後調査予定。なお以上には測位開始後の収束期間は含まれていないが測位開始からFirst Fixまでの時間は1H程であった。また暦はRTKLIB 2.4.0で追加されたFTP機能を使って、IGUを6H毎にダウンロードして使っている。

補足: 上下オフセットの原因はアンテナデルタパラメータが正常に設定できていないバグ。(No.54参照) (9/4追記)

下の結果を見ても分かるように現状のリアルタイムPPPの精度は水平5cm、垂直10cm RMS程度であるが、長基線RTKでは上手くすれば水平1cm、垂直4cm RMSの精度は出るということで、数100km以内に基準局を設置できる場合は、やはり長基線RTKの方が精度的には明らかに有利である。RTKの問題は衛星放送で補正データを送れないこと。通信コストの問題はあるが、最近は安価な衛星携帯電話サービスもあるので数100km以上沖合の海上以外は、長基線RTKの方が良いのではないかと思う。
現在検討中のPPP-RTKの目標は以上リアルタイムPPPと長基線RTKを融合して両者のメリットを生かすことにある。

-------------------

Veripos
商用リアルタイムPPPの精度について調べていたら突き当たったサービス。商用リアルタイムPPPとしてはNavComのStartFireとFugroのOmniStar/SeaStarが有名だが、Veriposも似たようなサービスを展開しているらしい。VERIPOS ApexとVERIPOS Ultraの仕様では、30秒間隔の補正更新で2周波搬送波位相を使って精度水平10cm (95%)、垂直20cm (95%) としている。配信はやはりInmarsat L-bandで専用受信機が必要の様だ。

-------------------

RTKLIBのロードテストとIGS-IPリアルタイム暦の評価を兼ねて、連続運転でリアルタイムキネマティックPPPを流しているので1Hz-24Hの結果を貼っておく。暦は、www.igs-ip.net/ (1) CLK11, (2) CLK20, (3) CLK31, (4) CLK51, (5) CLK61, (6) CLK11で、(6)はGPS+GLONASS、のこりはGPSのみ。(5) は一部暦のデータ欠損があり単独測位解になっている区間が含まれる。CLK11, CLK20, CLK51は大体同じくらいの品質で、概ねE/N〜5cm、U〜10cm RMSの精度は出ている。これはほぼ商用のリアルタイムPPPとコンパラの性能と言ってよいと思う。レイテンシが少し大きいのと暦が10秒周期なので衛星クロックの外挿誤差が解を少しノイジーにしている。この辺はまだ改良の余地がある点だと思う。

-------------------

Russian Federation Space Agency, Успешный пуск РКН ≪Протон-М≫, September 2, 2010

Google翻訳
> 今日では、04.53.50、バイコヌール宇宙基地からモスクワ時間"プロトン- Mは上段のDM - 2と3
> つの宇宙船"GLONASSの- Mは宇宙ロケットの打ち上げ成功を開催しました。第3段ロケットブー
> スターユニット"のDM - 2からの分離後、"軌道に宇宙船の除去をブロックし続けます。上段から
> ブランチユニット宇宙船08.26モスクワ時間の予定です。

多分打ち上げ成功ではないかと思う。これで軌道上のGLONASS衛星は26機 (参照)。多分現在空いているスロット6, 12, 16に入るのではないか。もしそうならこれでGLONASSのFOC完成ということになる。SpaceFlightNowによれば次の打ち上げは12月で、次世代型衛星GLONASS-K初号機が含まれる予定。さて次の測位衛星打ち上げはQZSS初号機「みちびき」(9/11) である。

補足: 空いている3つのスロットのうちスロット6は他の2つと軌道面が違うので今回1回の打ち上げで本当に全部の空きスロットに入れられるのかは不明。軌道面変更はいわゆる面外制御になるのでアポジモータの推薬が足らない可能性もある。その場合は今回打ち上げた3機のうち1機はスペアとして軌道面IIに残り、スロット6は12月の打ち上げで埋めることになると思う。この場合FOCは12月の打ち上げまで持ち越しとなる。(13:31追記)
続報によるとやはり3機のうち1機はバックアップとなるらしい。L2が故障しているスロット9を置き換える可能性もある (参考) 。良く考えたら3機の衛星に対しアポジモータは1機なので1つの衛星だけ別のプレーンに入れるのはかなり難しい。非球面重力ポテンシャルを使い長期間かけて徐々に軌道面を回転させるというのもないことはないとは思うけど。(22:05追記)

...................................................................................................................................

2010/09/01

G.L.Mader, [IGSMAIL-6232] Kinematic GPS Challenge, August 17, 2010
GRAV-DというNGSによる重力ミッションに関連する、キネマティックGPSチャレンジ。色々な解析ソフトで同一の航空機搭載GPSデータセットを解析して、その性能を比較しようとしている様で、参加者を募っている。精度の良さそうなソフトを選んで、最終的にGRAV-Dの解析で使用するつもりなのであろう。実は直接参加要請が来ていて、一応データセットをダウンロードしてちょっと解析したのだけど、相対測位では基線長が10km〜数100kmになるし電離層や対流圏の変動も地上局とはずいぶんと様相が異なるので全区間Fixさせるのはなかなか難しい。キネマティックPPPでも良いのだが、RTKLIB 2.4.0ではphase-windupモデルに姿勢変動が入っていないので機体回転に同期して解がシフトしまうはず。機体姿勢を速度ベクトルで近似してphase-windupモデルに入れる改修をしてPPPで参加しようかなあ。〆切10月末。

-------------------

パッチrtklib_2.4.0_p6.zipを適用してRTKNAVIががとりあえず落ちなくなったので、ION発表向けの長基線RTK評価中。
以前取ったリアルタイムGEONETデータを再生して評価するつもりだったのだが、データ異常でこれが使えないことが分かったので、問題はリアルタイム基準局データをどこから調達してくるか。最近IGS MIZU局がリアルタイムデータ配信を始めてくれたので、IGS MIZU局とSUWN局 (韓国) のデータをIGS-IPからNTRIPで取ってきて基準局に使うことにする。基線長はそれぞれ436kmと1025km。相当に厳しい条件であるが、今のところ時間さえかければFIXして、安定してRTK解を出してくれている。回線のレイテンシが気になるところだが、概ね2-5 sで安定している。ただSUWN局は1H毎の時間替わり時に、20-30 sの大きなレイテンシが加わる (参照)。多分これは1H毎のオフラインデータ出力にSUWN局サーバのCPU時間が喰われているのではないかと思うのだが、これくらいのレイテンシではそんなにRTK性能に影響はない様だ。少し連続運転で動作確認して、移動体の評価もしてみるつもり。

...................................................................................................................................

〜2010/08/31


Home by T.Takasu