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測地学会誌 創刊号~2008年1号
測地学会誌のバックナンバーが電子化されて一般公開された。私が入会する2005年以前のGPS関連論文を1995年くらいまでさかのぼってざっと読んだ。測地学関係では結構古くからGPSを使われている方も多い。でも、地震研加藤先生が2001年に書かれている以下の文章を読むと、GPS解析技術もこの10年でたいして進歩していないことが分かる。まあ技術の進歩なんてそんなものなのかもしれないのだけど。
> まだ地球科学に根付いてはいないが今後大きな飛躍が期待される分野としてキネマティックGPSがある。
> セッション11, 12では主としてキネマティックGPSの開発・応用について討議された。ここでは如何に
> 高速に整数値バイアスを確定するか、また高速サンプリングに追随するか、等の技術的な検討がなされた。
> 特に注目すべきであるのは長距離(数百km~2千km)におけるRTK技術であり、まだ実験段階ではある
> ものの、もしこのような長基線が数cm以内程度の精度で測位できるとなると地球科学への応用分野も、
> 例えば海面高変化監視や航空機自動制御を通じての応用やスロー・サイレント地震研究への応用など、大
> きく広がることが期待される。
> (加藤, 「GPS国際シンポジウム~地球科学への応用~」報告, 測地学会誌 Vol.47, No.2 (2001))
補足: The International Symposium on GPS - Application to Earth Sciences and
Interaction with Other Space Geodetic Techniques , October 18-22, 1999, Tsukuba International Convention Center
上記シンポジウムのWebサイトを見つけた。プログラムを見るととても豪華な参加者だったことが分かる。(11/28追記)
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西村他, GPSリアルタイム1秒データを用いた震源断層即時推定手法の開発, 国土地理院時報 120集, 2010
地理院のリアルタイムGPS解析システムについて紹介が載っていたので貼っておく。解析はGeodetics社のRTDで今のところ基準局固定の52
GEONET基線。地図を見ると基線長は最大150km位か。地殻変動自動検出や震源断層モデル推定も行っている。GPS解析にはsidereal-filterも導入している。RTDの"epoch-by-epoch"の問題はmis-fixな訳で、色々対策に苦労している様だが、これは元々RTDの設計が悪い。すなわち固定点では殆どスリップは無いのだからAmbiguityを"epoch-by-epoch"で解く必要はないし、あえて条件の悪い解析をする必要性も無い。ということで、結構潜在需要は大きそうなのでRTKLIBにも数100基線程度までのネットワーク解析機能とsidereal-filter機能付けるかなあ、とは思っている。
補足: ちょっと、うかつなことを書いてしまった。RTDの"epoch-by-epoch (TM)"に関してそのアルゴリズムは殆ど公開されていないので、何故性能が出ていないかについては推測でしかない。またRTD解にmis-fixが多いと言うのも人からの伝聞にすぎない。従って、もしRTDの導入を検討されている方は実際に応用環境で試用して性能を確認の上購入されることをお勧めします。結構高価な買い物らしいので。(11/28追記)
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宇宙開発戦略本部, 準天頂衛星に関するプロジェクトチーム第3回会合議事次第, 平成22年11月12日
先日毎日の記事になった準天頂衛星の今後の件、資料を見つけた。これをみると記事にはなかったがSMSや双方向通信の追加も検討されている様。
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Stanford's 2010 PNT Challenges and Opportuities Symposium, Stanford Center for Position Navigation & Time, November 9-10, 2010
11月にStanford大のSCPNTが開催したシンポジウムの資料がupされている。特に興味深いのはDARPAのA.ShkelのμPNTと呼ぶ超小型IMUデバイスプロジェクトに関する発表。2mm角のサイズに超小型HRGジャイロとCSAC (チップ原子時計) を集積し自動校正技術を導入することにより、Nav GradeのIMU性能を実現する。まだ完全に軍用の様だがこれらの技術が民生用に降りてくることはあるのだろうか。
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Fifth Meeting of the International Committee on Global Navigation Satellite Systems (ICG), Turin Italy, October 18-22, 2010
10月にイタリア トリノで開催された第5回ICG meetingの資料が公開されている。今まであまり情報のなかったインドのIRNSSの計画だけ紹介すると、
(1) 3GEO+4IGSOの7機構成。2011年初号機打ち上げ、2014年完成。
(2) 第2フェーズとして4機の衛星を追加する案を提案中。
(3) 信号は標準測位サービス用にL5とS (1MHz BPSK)、制限サービス用にL5とS (BOC(5,2))。
なお、来年の第6回ICG meetingは9月に東京で開催されるとのこと。
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Hong Kong International Airportなう。ここはInternet接続は無料。
T.Takasu, Development of an Open Source Multi-GNSS Data Processing Software, 2nd Asia Oceania Regional Workshop on GNSS, November 21-22, Melbourne,
Australia
発表資料をup。内容は発表前日の夜ホテルで作った従来資料の使いまわしなのだが、少しは新しいネタも入っている。ホテルのインターネット接続環境があまり良くなくて、未確認が原因で一部不正確な情報が含まれているので注意。やっぱり資料は出発前に作っておく方が安心。(転送容量制限がかかっているのかファイルupload途中でコケるので日本に帰ってから再upします。) しかし、Mac Book Air + Win 7のプロジェクタ接続がトラブル続き。宇科連はPDFで保存してMAC OSを立ち上げ切り抜け、AORWSはこの方法でうまく行かず古いppt形式で保存し直して設置PCで発表 (設置PCがpptxに対応してなかったので)。どうもVGAアダプタが怪しい。バッテリ持ちとか起動時間とかそれ以外は満足しているのだけど、プロジェクタ接続できないとすると持ち歩き用に使えないのだけど。
補足: 無事オーストラリアから香港経由で帰宅。AORWS発表資料PDFを再up。なお宇科連の資料はGPSシンポと殆ど変えていないのでupしません。(21:15追記)
研究業績も更新。数えてみると今年は英語発表5本を含めて10本も発表している。ここには書けない講演等も入れるともう少し。さすがにネタが枯渇しつつあるので、来年は少し控えて新ネタを補給する様にしなければいけない。(21:42追記)
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Melbourne International Airportなう。
2nd Asia Oceania Regional Workshop on GNSS終了。
結局参加者は100人を少し超えたぐらいだったらしくちょっと寂しいワークショップであった。
まだ場所は未定だが来年同時期にまた開催される予定とのこと。
さて、これでやっと秋の学会シーズン終了。
さすがに疲れたので来年は少し参加学会数を絞ったほうがよいなあと思ったけどそうも行かないかも。
ちょっと本日の発表から。UNSWのNAMURUはMAX2769, 2112をフロントエンドに使ったmulti-GNSS対応のv3を開発中とのこと。
状況をちょっと聞いたら、MAX2112はあんまり性能が良くないと言っていた。 NSLのSelectaも試しに買ってみようと思っていたけどどうしようかなあ。
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さて、これから静岡→メルボルン。発表資料はいつものように前日ホテルで。これで秋の一連の発表も終わるので、帰ったら本格的にS/W受信機の実装に取りかかる予定。なんとかQZSSの本運用が始まる前にまともに動くところまで行きたいのだけど。(9:47)
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GPS World, Broadcom Reports Location FIxes with QZSS, November 16, 2010
GPS World, JAVAD Receivers Track Firs L1C Signal -- the First Truly Interoperable
Signal, November 11, 2010
InsideGNSS, Japan's Quasi-Zenith Satellite Michibiki Begins Broadcasts, November 2, 2010
まだ試験運用中だが世界各地でQZSSの受信レポートが上がり始めている。しかし、ドイツやモスクワでQZSSが受かるとは思わなかった。S/W受信機でL1C受けて見たいのだけど、L1Cって帯域何MHzいるんだっけ。
補足: QZSSのL1CはBOC(1,1)なので最低所要帯域幅は4.092MHz。従ってL5の20.46MHzに比較してもずっと受けやすい (MAX2769は設定でIFフィルタの帯域幅を変えられるので、4MHzならPrimo IIでも受かるはず)。なお、GPS IIIのL1CやGalileo E1のL1Cは、MBOCなので、QZSS L1Cはこれらとの完全な互換性はない。これはGPSやGalileoの信号設計が途中で変更されたので、QZSSへの反映が開発日程上間に合わなかったため、とのことである。(14:32追記)
補足: ドイツやモスクワでホントにQZSSが受かるの? という疑問が有ったのでちょっとシミュレーションデータで確認してみた。実はRTKLIB 2.2.2には昔使ったQZSSやGalileo観測データのシミュレーション機能が含まれているので、それでドイツヴァイルハイム (左) とモスクワ (右) でのQZSS観測データを作ってskyplotを描いてみた。ドイツはギリギリで普通の受信機では受けるのは厳しそうだが、確かに30m鏡を使えば受かりそうだ。(16:25追記)。
Skyplots with simulated QZSS orbit at Weiheim (left) and Moscow (right)
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毎日jp, みちびき: 電波信号一部暗号化も「なりすまし」防止で, 2010/11/12
> 測位の精度向上を目指す準天頂衛星「みちびき」について、政府は12日、測位の電波信号の一部を暗号化する検討を始めた。
> 開発計画を話し合う8府省庁の政務官級会合で明らかにした。自衛隊や警察などの政府機関専用にするほか、暗号化した電波
> を有料で商業利用に提供することも検討し、11年3月までに具体案をまとめる。
> みちびきはカーナビなどに使われている米の全地球測位システム(GPS)を補うため、9月に1号機が打ち上げられた。だ
> が2基目以降の開発を含む全体計画は未定だ。
> 暗号化は、誤った情報を混入させる「なりすまし」などの妨害を防ぐのが目的。GPSにも民間人が使えない高精度の軍用電
> 波があるほか、欧州の測位衛星は暗号電波の有料化を検討中で、これらを参考にする。
> みちびきは誰でも無料で使える前提で構想されたが、売り物の高精度が一部の利用に限られる可能性が出てきた。
> また同日の会合では、「みちびきは最低3基必要」としてきた従来方針を見直し、「24時間運用には4基以上が必要」と
> 説明。最大でみちびき6基と静止衛星3基を組み合わせ「日本版GPS」の構築も検討するとした。数を増やして受信地域を
> 拡大し、東南アジアや太平洋諸国への政府開発援助(ODA)に活用する案もある。
とのこと。前半の記事はGalileoのPRSみたいな暗号化CHを追加して、LEXはスクランブル化して課金するという案らしい。ビジネス化はもちろん重要な課題だが、個人的には信号は無料で誰でも使えるようにして、ユーザ機器や応用で稼ぐというビジネスモデルでないとユーザ数は増えず、上手くいかない気がする。GalileoのCSも事業化の目処が立ってなくてどうなるかわからないし、測位信号そのもので稼ぐって結局無理な気がするが。
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NSLに注文していたMAX2769ベースのサンプラーPrimo II (左) が届いた。右はずいぶん前にSparkfunで買ったSiGe4120LベースのGN3S Sampler v.2。Primo IIは一応2chに対応しているので設定でGPS/GLONASS受信機や2入力GPS受信機用RFフロントエンドとして使えるはず。738GBP (送料込) 也。 支払いはチェックか銀行送金しかダメとのことだったので、郵便局の国際送金で送金。郵便局の手数料が\2,500。最初EURO立てのPro Forma Invoiceが届いたのだが、郵便局でUKへの送金はGBPでないと受け付けられないと言われて、再度GBP立てでinvoiceを送り直してもらった。予想通りまともな取説がほとんどついていないので使いこなすのにはちょっと苦労しそう。S/W受信機がうまく動くようになれば、自分でほぼ同一構成のPCBを起こしたいのだがまあこれは来年になってからだろう。
補足: 後から消費税の請求が届いた。為替レートは何で計算しているのか良く分からないのだが、Fedexへの支払い \4,300也。(11/27追記)
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調べた範囲でオープンソースのS/W受信機についていくつか紹介する。
(1) GPS-SDR
NASAのGregory Hecklerが開発したもので、多分現在最も完成度が高い。実装はC++。リアルタイムに対応しておりGUIもついている。RFフロントエンドとしてはUSRP、SiGe
GN3S Sampler v.2に対応。x86のSSE2を使って高速捕捉・追尾を実現している。FFTは自作。
(2) fastgps
StandordのMorgan Qugley, Pieter Abbeelらの開発。実装はC++。コードを読む限りまだ後処理しか出来ないようだ。FFTはKiss
FFT。内容についてはGNSS Application and Methodsに詳説されている。
(3) GNSS SDR
Danish GPS Centerの開発。実装はMatlab。後処理のみで実行は遅い。K.Borre, D.Akosらの著名な教科書 A Software-Defined GPS and Galileo Recevier の付録DVDに収録されている。オリジナルはI/Qサンプリングに対応していないのだが、I/Qサンプリングに対応したバージョンも公開されている
(GNSS@Colorado Center for Astrodynamics Research)。
(4) OpenSourceGPS
多分最古参のS/W受信機プロジェクト。Webサイトの紹介によると100MHz 486 IBM PC (!) でも動くらしい。オリジナルはフロントエンドにzarlinkのGP1010/1020や2021/2010/2015を使っているので厳密にはS/W受信機とは言えないが、S/W受信機化したSoftOSGPSという派生プロジェクトも存在する。SuperStar
IIに移植してオープンソースGPS受信機として動かすプロジェクトもある。これはOSQZSSのベースになっている。
実際にコードをダウンロードして読んでみると参考になる点が多い。
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FFTは2のべき乗じゃないとダメなことを思い出して、信号サンプル数を2のべき乗にして再度並列相関時間を測ってみた。FFTWは大きく改善されるがCUFFTは性能が上がらないなあ。やっぱりCPU-GPU間のメモリ転送オーバヘッドが大きいのかも。なお、S/W受信機の場合サンプル数を2のべき乗にするのは難しい場合が多いので、FFT性能を稼ぐためにリサンプリングして、サンプル数を2のべき乗にそろえることが多い様だ。
parallel correlation time with FFTW-3.2.2-64bit (single FP, i7 730 2.8GHz, single thread) sampling rate=32.768MHz tau= 1ms: ns= 32768 time= 1.2ms rate= 839.6corr/s tau= 2ms: ns= 65536 time= 3.0ms rate= 333.1corr/s tau= 4ms: ns= 131072 time= 7.6ms rate= 131.9corr/s tau= 8ms: ns= 262144 time= 16.1ms rate= 62.2corr/s tau=16ms: ns= 524288 time= 41.3ms rate= 24.2corr/s sampling rate=16.384MHz tau= 1ms: ns= 16384 time= 0.6ms rate=1543.6corr/s tau= 2ms: ns= 32768 time= 1.2ms rate= 838.7corr/s tau= 4ms: ns= 65536 time= 2.7ms rate= 375.4corr/s tau= 8ms: ns= 131072 time= 7.6ms rate= 132.3corr/s tau=16ms: ns= 262144 time= 16.1ms rate= 62.3corr/s sampling rate=8.192MHz tau= 1ms: ns= 8192 time= 0.4ms rate=2740.5corr/s tau= 2ms: ns= 16384 time= 0.6ms rate=1557.1corr/s tau= 4ms: ns= 32768 time= 1.2ms rate= 812.7corr/s tau= 8ms: ns= 65536 time= 2.7ms rate= 376.5corr/s tau=16ms: ns= 131072 time= 7.7ms rate= 129.6corr/s parallel correlation time with CUFFT (CUDA 3.2, GeForce GTX470) sampling rate=32.768MHz tau= 1ms: ns= 32768 time= 2.1ms rate= 475.6corr/s tau= 2ms: ns= 65536 time= 2.9ms rate= 349.9corr/s tau= 4ms: ns= 131072 time= 5.4ms rate= 184.6corr/s tau= 8ms: ns= 262144 time= 9.0ms rate= 111.1corr/s tau=16ms: ns= 524288 time= 17.3ms rate= 57.7corr/s sampling rate=16.384MHz tau= 1ms: ns= 16384 time= 1.8ms rate= 549.1corr/s tau= 2ms: ns= 32768 time= 2.1ms rate= 475.8corr/s tau= 4ms: ns= 65536 time= 3.2ms rate= 310.2corr/s tau= 8ms: ns= 131072 time= 5.4ms rate= 185.2corr/s tau=16ms: ns= 262144 time= 9.2ms rate= 109.0corr/s sampling rate=8.192MHz tau= 1ms: ns= 8192 time= 1.6ms rate= 640.6corr/s tau= 2ms: ns= 16384 time= 1.6ms rate= 622.9corr/s tau= 4ms: ns= 32768 time= 2.1ms rate= 472.3corr/s tau= 8ms: ns= 65536 time= 2.9ms rate= 344.9corr/s tau=16ms: ns= 131072 time= 5.4ms rate= 186.0corr/s
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まだシコシコと最適化。11/3に「SSE2には並列にテーブルを引く命令がない」と書いたが、(これ自身は間違いではないが) 良く調べるとCore
2から追加になったSSSE3の_xmm_shuffle_epi8() 命令を使うと、8bit×16のテーブルを並列に引くことができることが分かった。xmmレジスタにsin,
cosのルックアップテーブルを入れてあげると量子化損失の問題も無くなり、速度は、
sampling rate=16.368MHz (64bit, i7 930 2.8GHz, single-thread) tau= 1ms: ns= 16368 time=0.037ms rate=440.1Msps tau= 2ms: ns= 32736 time=0.056ms rate=589.3Msps tau= 4ms: ns= 65472 time=0.113ms rate=581.0Msps tau= 8ms: ns= 130944 time=0.225ms rate=582.5Msps tau=16ms: ns= 261888 time=0.445ms rate=588.5Msps
と少し改善した。ただ、コードは相当に複雑になってしまったので後からメンテするのは大変だろう。速度も精度も概ね満足なので、S/W相関器の最適化ももうそろそろ打ち止めかな。
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FFTを使った並列相関時間。
短いデータではCPUでもGPUでもあんまり変わらない。CUFFTを使ったコードでは周波数領域でのコード乗算はCPUで行っている。従ってCPU→GPU→CPU→GPU→CPUのメモリコピーが発生している。この乗算をGPUメモリで行えればもう少し性能が上がるはずだが、GPU上でのプログラム実行にはCVCCでコンパイルする必要がある様でまだ実装していない。GPUは長いデータでそれなりに速いのだけど最低CPU→GPU→CPUのメモリ転送オーバヘッドがかかるので、思ったほど性能が上がっていない。演算器を使いきっていない可能性があるので並列実行すればもう少し効率が上がるのかも。
例えばCPUによる16MHzサンプリング1msの場合、直列実行では16M回の相関が必要なので、等価相関器数は16368*1ms/2.6ms=6295個。GPUを使った場合でもせいぜい20000個。最近のH/W受信機の等価相関器数は数100万個と言われているから全然かなわない。ということでソフト受信機で最新H/W受信機並みの捕捉性能を実現するのは全く新しいアルゴリズムが必要だろう。
なお、16MHzサンプリング、積分時間2ms、ドップラ検索を250Hz間隔20KHz幅で行うとして、32衛星分のドップラ/コード検索時間は、CPUで4.7ms×81×32=12.2s、GPUで3.1ms×81×32=8.0s。これが大体ソフト受信機のコールドスタート時の捕捉時間の目安となる。もちろん感度を上げようとすると積分時間を延ばしかつドップラ検索間隔を狭くしなければいけないので、もっと時間がかかる。
parallel correlation time with FFTW-3.2.2-64bit (single FP, i7 730 2.8GHz, single thread) sampling rate=38.192MHz tau= 1ms: ns= 38192 time= 5.9ms rate= 168.5corr/s tau= 2ms: ns= 76384 time= 13.9ms rate= 71.9corr/s tau= 4ms: ns= 152768 time= 27.2ms rate= 36.8corr/s tau= 8ms: ns= 305536 time= 58.9ms rate= 17.0corr/s tau=16ms: ns= 611072 time=108.7ms rate= 9.2corr/s sampling rate=16.368MHz tau= 1ms: ns= 16368 time= 2.6ms rate= 379.9corr/s tau= 2ms: ns= 32736 time= 4.7ms rate= 212.5corr/s tau= 4ms: ns= 65472 time= 9.0ms rate= 111.7corr/s tau= 8ms: ns= 130944 time= 25.5ms rate= 39.2corr/s tau=16ms: ns= 261888 time= 50.5ms rate= 19.8corr/s sampling rate=8.184MHz tau= 1ms: ns= 8184 time= 1.8ms rate= 542.1corr/s tau= 2ms: ns= 16368 time= 2.6ms rate= 382.1corr/s tau= 4ms: ns= 32736 time= 4.7ms rate= 211.9corr/s tau= 8ms: ns= 65472 time= 8.9ms rate= 111.8corr/s tau=16ms: ns= 130944 time= 25.3ms rate= 39.6corr/s parallel correlation time with CUFFT (CUDA 3.2, GeForce GTX470) sampling rate=38.192MHz tau= 1ms: ns= 38192 time= 5.2ms rate= 194.1corr/s tau= 2ms: ns= 76384 time= 4.8ms rate= 209.6corr/s tau= 4ms: ns= 152768 time= 7.4ms rate= 135.3corr/s tau= 8ms: ns= 305536 time= 13.8ms rate= 72.5corr/s tau=16ms: ns= 611072 time= 25.7ms rate= 39.0corr/s sampling rate=16.368MHz tau= 1ms: ns= 16368 time= 2.0ms rate= 494.4corr/s tau= 2ms: ns= 32736 time= 3.1ms rate= 327.5corr/s tau= 4ms: ns= 65472 time= 4.0ms rate= 247.3corr/s tau= 8ms: ns= 130944 time= 6.7ms rate= 148.7corr/s tau=16ms: ns= 261888 time= 12.0ms rate= 83.0corr/s sampling rate=8.184MHz tau= 1ms: ns= 8184 time= 2.1ms rate= 482.5corr/s tau= 2ms: ns= 16368 time= 1.9ms rate= 534.5corr/s tau= 4ms: ns= 32736 time= 2.9ms rate= 341.5corr/s tau= 8ms: ns= 65472 time= 4.1ms rate= 245.1corr/s tau=16ms: ns= 130944 time= 6.6ms rate= 151.4corr/s
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メモ: 搬送波ミキシング時の1サイクルビット数と相関器損失との関係
8bit: 49.7dBHz
6bit: 49.7dBHz
4bit: 49.6dBHz
3bit: 49.4dBHz
2bit: 48.7dBHz
搬送波ミックスをSSE2で行おうとすると1サイクル2bitでしか表現できないので1dB程度の量子化損失が出てしまう。これは相関時間と相関器損失とのトレードオフ。一応コンパイルオプションで切り替えられるようにしておこう。
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NASA Spacefilght.com, Plan of Russian space launches
信頼性は分からないが10/30の投稿でロシアの衛星打ち上げリストが示されている。今後のGLONASS打ち上げだけ拾っておくと、
> 2010
> December 5 ? three Kosmos (three Glonass-M) satellites ? Proton-M/DM-03
? Baikonur 81/24 ? 10:25 UTC
> December 24 ? Kosmos (Glonass-K) ? Soyuz-2-1B/Fregat ? Plesetsk 43/4
>
> 2011
> September 25 ? three Kosmos (Glonass-M) satellites ? Proton-M/DM-03
? Baikonur
> TBD ? Kosmos (Glonass-M) ? Soyuz-2-1A/Fregat ? Baikonur 31/6
> TBD ? Kosmos (Glonass-M) ? Soyuz-2-1A/Fregat ? Baikonur 31/6
> TBD ? Kosmos (Glonass-K) ? Soyuz-2-1A/Fregat ? Plesetsk 43/4
>
> 2012
> December ? three Kosmos (Glonass-M) satellites ? Proton-M/DM-03 ?
Baikonur
> TBD ? two Kosmos (two Glonass-K) ? Soyuz-2-1A/Fregat ? Plesetsk 43/4
12月のGLONASS-Kはやはり単独でProtonではなくPlesetskからSoyuzで打ち上げられるらしい。来年以降まだGLONASS-Mの打ち上げが予定されており、2012年にはsoyuzによるGLONASS-Kのデュアルロンチも計画されている。
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Inside GNSS, Goodbye, GPS Wing; Hello, GPS Directorate, November 9, 2010
11/10に米空軍の組織替えで"GPS Wing"がなくなって代わりに"GPS Directorate"という名前になるとのこと。よく知られているように今のGPS
Wingの前身はGPS Joint Program Office (JPO)であるが、WikipediaによるとGPS Wingに替わったのは2006年のことの様だ。
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Mac Book Air上のソフトコリレータ性能。
sampling rate=16.368MHz (64bit, Mac Book Air C2D 2.13GHz, single-thread) tau= 1ms: ns= 16368 time=0.067ms rate=243.3Msps tau= 2ms: ns= 32736 time=0.132ms rate=248.5Msps tau= 4ms: ns= 65472 time=0.261ms rate=251.1Msps tau= 8ms: ns= 130944 time=0.525ms rate=249.6Msps tau=16ms: ns= 261888 time=1.584ms rate=165.3Msps
CPUクロック差以上に性能が落ちるなあ。i7とC2Dの違い?。これだと24CHはちょっと厳しい。16CH位が限界か。
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Mac Book AirにWindows 7 64bitとMatlab 2010bを入れたので恒例のベンチ。下はメインPCの結果。まあこんなものかな。これからVS2008を入れてSDR受信機用のコリレータ性能を測る。ちなみにMac Book Airのwindowsエクスぺリンスインデックスの値は5.7, 5.9, 5.3, 6.0, 6.9 (メインPCは7.4, 7.7, 7.6, 7.6, 7.8)
>>bench;a=rand(2000);b=rand(2000);tic,c=a*b;toc,tic,c=inv(a);toc
LU | FFT | ODE | Sparse | 2-D | 3-D | a*b | inv(a) | PC | Matlab version | OS |
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0.08 | 0.12 | 0.18 | 0.29 | 0.64 | 0.79 | 1.10 | 1.55 | *1 | 7.11 (R2010b) 64bit | Windows 7 64bit |
0.04 | 0.07 | 0.16 | 0.20 | 0.32 | 0.20 | 0.48 | 0.73 | *2 | 7.9 (R2009b) 64bit | Windows 7 64bit |
(sec, *1 Mac Book Air 13" C2D 2.13GHz, RAM 4GB, *2 i7 930 2.8GHz, RAM 6GB)
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高須, QZSS LEXによるリアルタイムPPP実験とその拡張, GPS/GNSSシンポジウム2010, 2010/11/4-6, 東京海洋大
GPS/GNSSシンポの発表資料up。内容的にはそれほど新しいものはない。LEX PPPの精度評価は8月の事前地上試験で取得したオフラインデータを使っている事前評価結果なので完全に参考扱い。1月~3月にかけて実データ評価を行う予定。
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国土地理院, GPS連続観測システム (電子基準点の受信装置の更新)
GEONET受信機今年度更新80機分の一般競争入札結果が公開されている。落札業者はニコン・トリンブル社で価格は\14,200,000、1台あたり\177,500。これは設置調整費用も含まれているから、ちょっと信じられない価格である。聞いた話では機種はNetR9。10倍以上 (設置費用を差し引くと30倍以上?) の通常価格で受信機を買っているユーザから抗議はこないのだろうか。
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Mac Book Air 13" 来た。3年半前に買ったVaio TZが色々とヘタってきて、新しいノートPCをちょうど探してたところだったので。CPU C2D 2.13GHz RAM 4GB SSD 256GB。といってもMac OS Xを使うつもりは無くて、BootCampでWindow 7 64bitを導入中。11/3に書いた"普通のノートPC"というのはこれを想定している。しかしVGAアダプタは必要な時に絶対に忘れそう。Ethrenetアダプタも100BaseだしやっぱりVaio Zの方が良かったかなあ。
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GPS/GNSSシンポジウム2010から帰還。色々な方と話をして、ソフト受信機周りの重要なネタを仕入れられたのは収穫。今週はちょっとだけ京都の測地学会に顔を出して、来週は静岡の宇科連で発表してその足で羽田経由メルボルン。ハードな日が続く。
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まだシコシコと最適化。SSE2には並列にテーブルを引く命令がないので、IFキャリアミキシングで正弦波ルックアップテーブルを引く箇所が今まで実行時間のボトルネックになっていた。正弦波を三角波で近似してあげるとSIMD演算が使えるので、それで書き換えてみた。ちょっとロスが心配なのだが、実行速度は格段に上がった。一応、普通のノートPC
(2GHz×2コア) で24CH程度のリアルタイム追尾を目標に置いていたので概ね達成できそう。明日から外出が続くのでここで一区切り。FFT性能も測らなければいけない。
なお、SSE2のコーディングに使っているイントリンシック命令は調べてみるとgccやBCCでもそのまま使える様なので、他の環境用にインラインアセンブラを使う必要もなさそう。
sampling rate=16.368MHz (64bit, i7 930 2.8GHz single-thread) tau= 1ms: ns= 16368 time=0.037ms rate=445.4Msps tau= 2ms: ns= 32736 time=0.058ms rate=566.1Msps tau= 4ms: ns= 65472 time=0.118ms rate=554.4Msps tau= 8ms: ns= 130944 time=0.233ms rate=561.0Msps tau=16ms: ns= 261888 time=0.467ms rate=561.2Msps
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www.beidou.gov.cn, 我国成功??射第六?北斗?航?星(?文), 2010/11/01
2010/10/31 16:26 UTC、Compass-G4衛星、中国西昌宇宙センタから長征3Cロケットで打ち上げ成功。これで軌道上のCompass (BeiDou-2) 衛星はGEO 4機 (内1機は軌道ドリフト中)、MEO 1機、IGSO 1機の合計6機。先日のICGでの資料によると年末にもう1機 IGSO衛星の打ち上げが予定されている。
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